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 交易によって繁栄をきわめ、黄金時代と呼ばれた17世紀のオランダで活躍した巨匠レンブラント・ファン・レイン。彼の最高傑作とされる集団肖像画『夜警(フランス・バニング・コック隊長とウイレム・ファン・レイテンブルフ副官の自警団)』は、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』、ベラスケスの『ラス・メニーナス』とともに、世界三大名画の一つに数えられています。

 レンブラントの作品の大きな魅力は、光と影のコントラストを際立たせたドラマチックな描写にあります。その技法は今も「レンブラント・ライト」の名で写真や演劇の照明に生かされているように、後世に大きな影響を与えました。しかし、そんな彼独特の表現が『夜警』ではあだとなったのかもしれません。描かれた18人の人物への光の当て方に不公平が生じたことから物議をかもした、というエピソードも伝えられています。

 そんな一件も関係したのかは不明ですが、この作品が完成した年を境に、レンブラントの人生は転落の一途をたどります。子供や妻の他界、愛人スキャンダル、そして戦争の勃発。相次ぐ不幸が災いして彼は仕事を失っていき、ついには富の象徴だった豪邸も手放さざるをえなくなります。しかし、そうした悲劇に見舞われても、レンブラントは絵を描くことを決してやめませんでした。そして、逆風が強まれば強まるほど、彼の作品は深みと輝きを増していったのです。

 レンブラントは生涯に100点近くの自画像を残しています。喜びも悲しみもありのままに表現したその一つ一つの肖像は、運命に翻弄されながらも芸術の理想を貫き通した、一人の画家の魂の記録でもあるのです。

 生まれ故郷ライデンや活躍の舞台アムステルダムを訪ね、天才画家レンブラントの数奇な生涯をたどりながら、作品に込められたメッセージを読み解いていきます。

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