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パリのオランジュリー美術館には、8枚の睡蓮の大壁画があります。全長は90mにも及ぶ壁画は展示室をぐるりと囲み、中心に立つ人を安らぎと瞑想の世界に誘います。

この絵の作者はクロード・モネ。印象派の旗手として、ルネサンス以降受け継がれて来た西洋美術の流れを大きく変え、絵画の新しい地平線に踏み出して行った画家です。

彼は一生涯を掛けて、あるテーマを追求し続けました。光と色彩です。風景、花、人物、あるいは当時最先端だった鉄道の駅を描くときも、彼の真の関心は、うつろいゆく光と色彩に向けられていたのです。

モネはフランス北部、ノルマンディー地方の港町、ル・アーブルで育ちました。絵画好きだったモネに、画家になることを決意させたのは、「空のラファエロ」と讃えられた同郷の画家、ブーダンとの出会いです。

ブーダンは、自然の中で制作することにこだわった画家でした。『自然の光をアトリエで再現することはできない』という彼の考えは、印象派の理論を先取りするものでした。モネの才能を見抜いたブーダンは、モネを屋外制作に連れ出します。ブーダンの描き方を間近にし、その教えを受けたモネは、自分の眼がいっきに開かれたるの感じたのでした。

やがて画家になった彼のカンヴァスからは、それまでの絵画にはなかった光が溢れ始めます。夏の陽光、雪の輝き、そして水の反映...。しかしその道のりは決して平坦ではありませんでした。保守的な人々は彼の絵を理解せず、絵が売れない苦境の時代が続きます。さらに、徹底して光と色彩を追い求める姿勢は、時として彼の愛する人や、彼自身をも深く傷つけてしまうことになるのでした。

番組では、モネゆかりの地、ル・アーブル、アルジャントゥイユ、ベトゥイユ、エトルタ、ジベルニーなどを巡りながら、光と色彩を追求したモネのあゆみを紹介します。

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