放送内容タイトル

作品情報ほか
  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像3

 オランダが海洋交易で世界一の繁栄を謳歌した17世紀、時を同じくして輝きを放った画家がいました。ヨハネス・フェルメール。オランダの地方都市デルフトで短い一生を終えた彼は、およそ200年間、世界的には無名の存在でした。19世紀になってはじめて美術界で注目されるようになり、以来、ミステリアスなその作品は、にわかに市場価値を高め、世界中の人々をとりこにしています。

 市民の日常生活をモチーフとした彼の絵は、繊細な光の表現、写実をきわめた描写、遠近法に基づく合理的な構図といった、一見してそれとわかる独特のスタイルに貫かれています。しかし、要素を最小限にそぎ落としたシンプルな構成は特定の解釈を拒み、私たちに謎を投げかけてくるのです。

 小説や映画でも取り上げられた名作『真珠の耳飾りの少女』。その謎めいた微笑みは何を物語るのでしょうか?下働きの女性が厨房でミルクを注ぐ、ただそれだけの場面を名画に変えた『牛乳を注ぐ女』。そこに隠された巧妙なトリックとは?

 自分自身と作品について、一切の言葉を残さなかったフェルメール。その人物像を追い求め、生涯を過ごした町・デルフトを訪ねます。フランスの小説家プルーストが「世界で最も美しい風景画」と絶賛した大作『デルフトの眺望』。静寂に包まれたのびやかな町の景観には、フェルメールの郷土に対する愛着が込められています。運河に沿ってレンガ造りの瀟洒な家並がつづく町を歩くと、彼の意外な一面も浮かび上がってきました。フェルメールは海の男たちで賑わう娼婦宿の経営者でもあったのです。彼はいくつかの副業を掛け持ちしつつ、あたかも道楽のように惜しみなく時間をつかいながら、名作を紡ぎだしていきました。フェルメールとは一体何者だったのか?そして作品に隠されたメッセージとは?新たな視点でその謎に迫ります。

作品情報ほか