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 “見たままを、ありのままに描く”。一見、簡単そうで、実は限りなく難しい課題です。この画家たちの見果てぬ夢を、易々と達成した天才画家がいます。17世紀、絵画の黄金時代を迎えたスペインで活躍したベラスケスです。彼の表現力を盗もうと、後にピカソ、ゴヤなどの巨匠達が作品の模写にいそしみますが、その天才的な表現力に舌をまき、降参するほかありませんでした。実際、ベラスケスの作品を見た後では、ほとんどの画家の作品にどこか不自然さが感じられてしまいます。

 印象派の先駆けとなったマネが「画家の中の画家」と称えたベラスケス。番組では、ゆかりの地であるスペインのセビリア、マドリード、イタリアのローマを巡るとともに、作品を極限まで拡大して、後世の画家達を驚嘆させた超人的な表現力に徹底的に迫ります。

 ベラスケスは1599年、新大陸との交易で栄えていたセビリアで生まれました。幼い頃から画才を現し、17歳という異例の若さで画家の親方として認められます。その頃にはすでに、凡庸な画家が一生努力しても到達できないような表現力を備えていました。彼にとっては、そこがゴールではなくスタート地点となったのです。

 ほどなくして宮廷画家となったベラスケス。国王フェリペ四世は彼の技量に驚嘆し、ついにはベラスケス以外の画家に自分の肖像画を描かせないとまで宣言します。また、教皇イノケンティウス十世は、仕上がった肖像画を観て「真実すぎる!」と叫びます。ベラスケスが描いた数々の肖像画には、モデルの性格までもが写し取られているのです。

 天才ベラスケスが、自分の持つ表現力の全てを駆使した作品があります。

 『女官たち(ラス・メニーナス)』です。“絵画の神学”とも称えられているこの作品は、レオナルド・ダビンチの『モナリザ』等と並んで世界の三大名画に数えられています。

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