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スペイン絵画三大巨匠のひとり、フランシスコ・デ・ゴヤ。近代絵画の父とまで謳われるゴヤですが、彼の画家人生は決して順風満帆なものではありませんでした。

実力が認められず、タペストリーの原画制作に甘んじなければならなかった30代。その状況を打開しようと、得意の肖像画で有力貴族に取り入り、40歳でようやく念願の宮廷画家の地位を手に入れます。しかしそれもつかの間、46歳で重病に倒れ、ようやく回復したとき彼は聴覚を失っていました。

音から切り離されたゴヤは、視覚だけで世界と、そして自分の内面と向かい合います。そして依頼主の満足のためではなく、自分が見たまま、そして描きたいままに絵画を制作するようになります。

アルバ公爵夫人との夏の日々を記録したサンルーカル画帳、風刺と幻想が融合された版画集『ロス・カプリチョス』、そして当時のスペインでは禁断だった裸婦像『裸のマハ』。ゴヤの絵筆から、次々に傑作が生み出されます。

一方でゴヤは、祖国の危機的状況を見つめます。堕落した王族、ナポレオン軍による侵略と民衆の蜂起に始まる対仏独立戦争。ゴヤはそのひとつひとつを冷徹な視線で捉え、リアルに記録していきます。それは権力者を称揚することが常識だった絵画の世界に、現実と近代的な批判精神が持ち込まれた瞬間でもありました。さらにゴヤは、暗い時代に翻弄される自分の内面を吐き出すかのように、連作『黒い絵』を描いて行きます。やがて78歳でフランスへの亡命を余儀なくされても、ゴヤの絵画への情熱は、なお衰えることがありませんでした。

生地フエンデトドス、修業時代を過ごした地方都市サラゴサ、首都マドリード、サンルーカル・デ・バラメダ、そして終末の地ボルドー。ゆかりの地を巡りながら、ゴヤの姿に迫ります。

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