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 世界最小の独立国家・バチカン市国。世界に約11億人の信徒を持つローマ・カトリック教会の総本山です。イエスの一番弟子ペトロを起源とするローマ教皇は、神の威光を背景に、ヨーロッパの有力君主と肩を並べるほどの富と権力を誇ってきました。

 歴代の教皇が収集したり、芸術家に作らせたりした美術品を収めるバチカン美術館は、年間200万人が訪れる世界屈指の美の殿堂です。古代から現代にいたるまで、キリスト教の歴史を伝える膨大なコレクションの中でも白眉といえるのが、15~16世紀の盛期ルネサンスに活躍した天才たちの作品です。教皇が祈りを捧げるシスティナ礼拝堂の天井を飾るミケランジェロの『創世記』は、旧約聖書に記された天地創造の物語を総勢300人以上の人物とともに圧倒的なスケールで描いた大作で、後世の芸術家に大きな影響を与えました。同時期にはラファエロも、古代の学者たちが談論風発する場面を描いた『アテネの学堂』や慈愛に満ちた聖母子像などで、ミケランジェロと画才を競いました。ジオットやフィリッポ・リッピ、ティツィアーノなど、独創的な画風でイタリア・ルネサンスに華麗な花を咲かせた巨匠たちも数多くの傑作を残しています。

 バチカンがこうした名画の宝庫となった背景には、当時、教会の分裂や世俗化によって教皇の権威が低下していたことへの危機感がありました。教皇はキリスト教の教義を絵にすることで人々の信仰心をあおり、威信を建てなおそうとしたのです。

 番組では、イタリア・ルネサンスの名作の数々を紹介しながら、これらの至宝がバチカンに残されるにいたった時代背景に迫ります。また、国がまるごと世界遺産に登録されているバチカン市国や永遠の都・ローマの見どころを、カトリック教会の歴史にもふれながら訪ねていきます。

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