暦を歩く
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「麻釜」(長野県 野沢温泉)
村の人々は、朝早く起きて大根の葉を湯に浸す。
山荘にいると、遠くから谷川の音が響いてくる。
こうして生活をしていると、吾ながら世情に疎くなる。 (高野辰之の漢詩より)
古くから名湯として知られる野沢温泉、その源泉のひとつが「麻釜(おがま)」です。
百度近い湯がこんこんと湧くこの場所は、野沢温泉の台所。湯けむりの中、村の人たちが卵や野菜をこの湯で茹でる姿は、野沢の冬の風物詩です。
名曲「ふるさと」の作詞家・高野辰之は、麻釜のすぐ近くで晩年を過ごしました。この地での静かな暮らしが、とても気に入っていたようです。
(取材協力:野沢温泉観光協会/高野辰之記念 おぼろ月夜の館 斑山文庫)