アーシストcafe 緑のコトノハ

東京・南麻布にある日本料理の名店「分(わけ)とく山」。この店の総料理長・野﨑洋光さんが腕を振るう料理は、四季折々の自然の恵みを大切していると評判 だ。またさん・野﨑は、元祖スローフードである、伝統的な味噌やぬか漬けなどの発酵食品も大切にしている。中でもとっておきのスローフードが、ヒラメやハ モなどの魚の腸((わた)を塩漬けにして、半年以上発酵させたもの。普通は捨ててしまうものを、他店では味わえない逸品に変えているのだ。 野﨑さんは食の基本は、家庭料理にあるという。その大切さを伝えるために始めた一般向けの料理教室は、野﨑さんのライフワーク。昔ながらの煮干の出汁のと り方から教える。一番出汁は、煮干しを水につけるだけ。二番出汁は同じ煮干を使って煮出したもの。最後に残った煮干しは、佃煮にしていただく。「この出汁 のとり方はずっと昔から日本人がやってきたこと。日本料理には食材を大切にするエコロジーが宿っている。」と野﨑さんは言う。そんな日本料理の中でも最も 華やかなのが、おせち料理。黒豆・田作り・昆布巻きなどの、おせち料理を作りながら、そこに込められてきた自然に寄り添って生きたいという、日本人の深い 思いを語る。