アーシストcafe 緑のコトノハ
ストーリー
2015年6月22日~6月26日
井上 亘(わさび農家・貴僧坊自然回帰園)
井上 亘(わさび農家・貴僧坊自然回帰園)
静岡県伊豆市の里山では天城連峰の豊富な伏流水を利用し、江戸時代から「わさび作り」が盛んに行われてきました。先祖代々、わさび農家の井上さんは農薬も肥料も使わない昔ながらの農法で育てています。「わさびは水が命」という井上さん。わさび田を潤 す水はミネラル豊富な湧き水で、その栄養分が極上のわさびを生み出しているのです。湧き水の水源は上流の豊かな森。その森は水源涵養林として守られています。実は、わさび田そのものにも水を清らかにする仕組みがあります。石垣で囲まれた わさび田は、大きな石から小さな石へと順に積み上げ、一番上に砂を敷き詰めた構造になっています。だから水が地表から下へ浸透していくと、自然に不純物が取れ、ろ過されていく仕組みになっているのです。その水は棚田の上段から順に流れ、ろ過が繰り返されます。このシステムのおかげで下流のわさび田でも清らかな水で育てることができるのです。こうした自然と一体になった、わさび作りを体感してもらいたいと井上さんは20年程前から「わさび田オーナー制度」を始めました。今では都会から年間30人程のオーナーたちが参加。苗を植え、手入れし、1年後に収穫。自然の大切さを感じながら自ら育てたわさびの味を堪能しています。緑豊かな森、わさび田を吹き渡る風、そして清らかな水に育まれた井上さんの深いコトノハに耳を傾けます。