にっぽん今昔道 江原啓之のちょっと道草
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埼玉県・「ゆとりあふれる 大宮盆栽町」




今回は、埼玉県大宮が舞台。
大宮駅周辺の近代化の一方で、大宮は自然豊かな場所でもあります。
閑静な住宅街で江原が発見したのが盆栽町の看板。
なんとも珍しい地名です。

関東大震災を機に大正14年、東京にいた盆栽師らが盆栽に適した広い土地や新鮮な空気、そして、水を求めて移り住んできたのが大宮盆栽町の始まり。

さっそく、盆栽町を散策。
江戸・嘉永年間創業と書かれた老舗の盆栽園「清香園(せいこうえん)」を発見。
盆栽が並ぶ園内にいた四代目園主の山田登美男さんに江原はお話を伺うことに。

案内されたお茶室に一歩足を踏み入れた瞬間、江原は感嘆の声をあげました。
床の間に飾られた樹齢250年の梅の木に一瞬にして心奪われた江原。

盆栽とは、盆栽そのものを楽しむだけではなくその空間を創造してそこに広がるものを楽しむものだとおっしゃる四代目。
江原もまさに宇宙だと感心しきりです。

伝統的な盆栽の作法は日々の水やりや土の入れ替え、剪定などの屋外で行う培養・管理を経てその盆栽が最も合う季節に、室内に飾り、それを愛でることだそう。

現代の社会ではあまり見ることがなくなった、盆栽が飾られた床の間を前に、四代目は、「立派な床の間がある必要はない。空間さえあればそこに小さな盆栽を置くことで巡る季節を感じられる」
空間を大切にする営みが大事なのだと共感する江原。

かつて、時の総理大臣など有力な政治家たちには盆栽の愛好家が多かったといいます。
春になれば、梅や桃の花が咲き「また一年頑張っていこう」という巡りゆく季節を感じ、それを楽しむ方法を知っていた。
しかし、今日の日本人は心に余裕がなく、趣味が少なくなってしまったと感じる四代目。
忙しくても心のゆとりをもつことがとても大切だとお話してくださいました。

空間に広がる世界を感じる心。
見えないものを見る心のゆとりを感じた大宮の道草でした。