にっぽん今昔道 江原啓之のちょっと道草
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ストーリー

茨城県・「永く大切にする心 茨城」




今回は、茨城県「真壁」で道草。
古からの歴史に彩られた真壁は、文化財が多数残る町並みもさることながら、風光に富む筑波・足尾・加波の山麓に位置するため、明治時代より、その山々から採れる良質の御影石を使った石材は特に有名なのです。

日本の原風景に目を留めながら歩く江原は、ある神社を見つけました。

創建890年という八柱神社。
元々は金剛院という、真言密教の寺院だったそうです。
近隣の八つの神様を合祀して、明治4年に神社として改称されたんだか・・・。
日本古来の神道、中国から伝播してきた佛教、二つの歴史の融合、そんな歴史の演出に神秘さえも感じてしまいます。

境内の中央には大きなケヤキ、樹齢400年とも言われています。
落雷によって二つに裂けてもなお、力強い生命力で、生き生きとした葉を付けています。「この木からは凄いパワーを感じる」と江原。

次に向かったのは、真壁の市街地にある白川菓子店。
昔ながらの町のお菓子屋さんといった風情。店先の椅子に座って来たお客さんに お茶を振舞いながら世間話に花が咲くといった光景が常なんだとか・・・。

真壁では、昔から、法事の時には白豆を入れた「白飯」を炊く風習があるそうです。
その風習に支えられ、今でも残っていられるとお菓子屋さんは語ります。
古き良き日本を探していると尋ねると、石臼を作っている職人さんを紹介してくれました。

向かった先は夢工房・有山。
有山さんに入れて頂いた珈琲は、こちらで造った石臼で挽いた豆で淹れた物。
滋味溢れる一杯に感激しきりの江原さん。

戦争で亡くなった父の兄の後を継ぎ、二代目として石屋を再開した有山さんの工房には、先代の思い出を残す物が・・・。
先代が囲炉裏の石として利用していた物を、有山さんが石炬燵として作り直したそうです。物を大切にする心に胸を打たれた江原。

嘗ては、日常的に利用されていた石臼も、時代の流れと共に忘れ去られていったそうですが、近年では石臼の良さが見直されているという嬉しい現実も。
今では、全国でも石臼を作れる職人は減っており、磨り減った石臼の「目立て」をお願いしたいと、全国から石臼が送られてくるそうです。
伝統の職人技に居ても立っても居られなくなった江原は、石臼作りを体験させてもらいました。

新しい物にばかり固執する今の時代の中でもなお生き続けている、優しい人の心の在り方。その大切さを再認識した道草でした。