BS朝日開局15周年特別企画 黒柳徹子のコドモノクニ ~夢を描いた芸術家たち~

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放送内容

「二十四の瞳」壺井栄
小豆島で生まれた反戦の思い

今回は、日本文学史に名を残す名作『二十四の瞳』を手がけた作家・壺井栄を特集。ベストセラー『バッテリー』の作者であり、壺井栄賞の元選考委員でもあるあさのあつこさんが、壺井栄作品誕生の秘密をひもとく。名作の舞台・小豆島の美しい風景も。

小豆島出身の壺井栄は明治32年にたる職人の父・岩井藤吉としょうゆ屋の娘アサとのあいだに5女として生まれた。多い時には父の弟子たちも含め20人以上が一緒に暮らし、なかでも栄は祖母イソを慕い、よく昔話を聞いたという。これらの生活環境が、栄に物語を書く礎を築かせた。

『二十四の瞳』の舞台は昭和3年~21年までの日本。普通選挙実施に共産党が弾圧された「4・16事件」、満州事変、日中戦争に太平洋戦争…。栄は、作中で先生と子どもたちの交流を通し「反戦」を訴えている。

昭和19年には、絵雑誌『コドモノクニ』に「オフネノトモダチ」を発表。御用船に召された父の船を丘の上で待ち続ける子どもの姿を書いた。戦争中、戦意高揚の作品が多い中、栄が目を向けたのは子どもたちの姿や庶民の生活。戦争に巻き込まれていくなか生活を営む人々―。それは栄が書き続けた「何ものにも変え難いもの」だった。

反戦を訴え続けた栄は昭和42年、病により67歳で死去。栄は死の直前、家族が見守るなかある言葉を残す。「みんななかよく。」それは、平和を願う言葉として私たちに受け継がれている。

【出演】あさのあつこ(作家)