BS朝日開局15周年特別企画 黒柳徹子のコドモノクニ ~夢を描いた芸術家たち~

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放送内容

子どもの心を見つめ続けた
絵本作家・いわさきちひろ

絵本作家・いわさきちひろは、幼年期に絵雑誌『コドモノクニ』を見て育った。好きな作家は武井武雄、岡本帰一、初山滋。彼女が絵本作家になる原点は『コドモノクニ』にあったという。いわさきちひろが、29年の画家人生で残した作品は1万点を超える。ほとんどは、愛らしい子どもの表情だ。なぜ、ちひろは子どもの絵を描き続けたのだろうか…?

いわさきちひろが生まれたのは、大正7年(1918)、『コドモノクニ』創刊の4年前のこと。幼い頃から絵が好きだった彼女は女学校に進むと、画家・岡田三郎助に師事し、自らも画家を目指す。しかし、時は戦争に向かう時代。ちひろは画家への道を断念、親の勧めに従って20歳で結婚するが、わずか10カ月後に夫が自殺するという悲劇の結末に終わる。さらに、昭和20年5月には、山の手大空襲で東京の実家が焼かれてしまう。ちひろ自身も迫りくる炎の中を逃げ惑った。その後、長野県の松本に疎開して終戦を迎える。ちひろは、終戦の翌日から1カ月ほどの間、「草穂」という日記を書きつづった。この時に再び、画家として生きる決心をしたのだ。

昭和21年、画家を目指して上京。以来、昭和49年に55歳で亡くなるまで、子どもの絵を描き続けることになる。平和の象徴は、何よりもあどけない子どもの姿だと信じたいわさきちひろ。しかし、そんな彼女も、ベトナム戦争時には戦争をテーマにした絵本を出している。反戦への強い思いは『戦火の中のこどもたち』という絵本に結実した。子どもの心を見つめ続けた絵本作家の思いをひもとく。

旅人:榎木孝明