ネイチャードキュメント 奇跡の地球紀行
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大河メコンに生きる〝聖なる象〟
秘境ラオス!神秘の巨大洞窟と世界遺産
今回の舞台は、東南アジアに広がる「母なる川」メコンに抱かれた秘境の国、ラオス。中国、ベトナム、ミャンマー、タイ、カンボジアの5つの国に囲まれ、49の民族が存在するラオスは、その昔「百万頭のゾウ」を意味する「ラーンサーン」を国名に冠したこともあるほど、ゾウが宗教や林業など、さまざまな形で人々の生活に密接に関わっている。 今回の案内人は、間寛平さん。アースマラソンで世界を駆け巡った間さんも、ラオスを訪れるのは今回が初めて。野生のゾウを保護するエレファントキャンプや、街全体が世界遺産に登録され、大小70余りの寺院が密集している、ルアンバパーンで行われる朝の托鉢(たくはつ)、無数の仏像が鎮座する絶壁に掘られたパークウー洞窟など、初めて接する文化と自然に驚きの連続!
< 旅の出発地 ~首都ビエンチャン~ >
首都ビエンチャンは、ラオスの政治と経済の中枢で、約70万人が生活する都市。まず、間さんは、フランス統治時代に作られた「パトゥーサイ」というパリの凱旋(がいせん)門を模して造られた建物に向かう。ラテン語でパトゥーとは「扉」「門」、サイとは「勝利」という意味で、下から見上げた天井にはラオスの典型的なモチーフである、神々やゾウなどのレリーフが飾られている。さらに、間さんは、ビエンチャンの胃袋と呼ばれる市場「タラート・トンカンカム」を訪れる。ここは、メコン川で取れた魚介類を始め、肉や野菜、日用品などを売る店が所狭しと並び、庶民の生活をうかがい知ることができる場所。この市場で知り合った魚屋の女性店主と意気投合した間さんは、なんと自宅で夕食の招待を受けることに…。料理自慢のお母さんが作ったラオスの家庭料理に舌鼓を打ちつつ、本物の庶民の生活を見ていく。
< 象の聖地 ~エレファントビレッジ~>
かつて「百万頭のゾウの王国」という意味を持つ国だったラオス。そんなラオスに生息するゾウは、手厚く保護されている。しかし、国主導で保護しているにも関わらず、森林伐採の影響などで、2008年時点で、野生のゾウが500~2000頭、保護されている象が500頭と、年々減少している。今回は、ルアンパバーン郊外にあるラオス最大級のエレファントキャンプを訪ね、その実態を紹介。その昔、ゾウは、王様しか乗ることが許されず、庶民にとっては尊い生き物としてあがめられてきたが、現在は、森林や河川など、車の入れない場所への荷物の運搬手段として使われていたり、観光資源の一つとなっている。 今回訪れたエレファントキャンプでは、そこで実際に働くゾウ使いの生活にも密着。神聖な存在であるゾウとのふれあいを通して、ラオスの人たちにおけるゾウの存在の大きさを知ることができる。さらに、ゾウ使いから特別に許可を得て、テレビ取材初という、ジャングルの奥にあるゾウたちの寝床にも潜入する。
< 世界遺産の街 ~ルアンパバーン~ >
ラオス北部の古都、ルアンパバーンは、市街地全体が世界文化遺産に登録されている。その歴史は14世紀に始まり、当時のランサーン王国の首都として栄え、1975年に社会主義の現政権になるまで続いた。街には、70余りの寺院が密集し、白壁に覆われた高床式の建物や、高い三角屋根の寺院建築と、フランス統治時代に建てられたコロニアル風建築物が混在し、その美しさがたたえられ、世界文化遺産に認定された。街の中心部で夕方に開かれる「ナイトマーケット」では、数百メートルに渡って少数民族のモン族が出店する屋台が所狭しと並び、民芸品や衣類、食料品などを買うことができる。ルアンパバーンを代表する寺院である「ワット・シェントーン」では、28歳という若さで副住職に就いた人物に、ラオスにとって仏教がどんな存在なのか取材を敢行。さらに、早朝に行われる托鉢(たくはつ)の様子も紹介する。
< 母なる川 ~メコン川の流れ~ >
中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム、そしてラオスを流れるメコン川は、全長4350キロメートルに及ぶ国際河川としてその名を知られている。今回、メコン川中流域の国、ラオスで暮らす人々にとって、メコン川がどのような恵みを与えてくれる存在なのかを取材する。 川沿いの町、バンランサンハイでは、その恵みの一つであるラオスの焼酎「ラオラーオ」作りを紹介する。ちなみに、WHOのレポートによると、ラオスの飲酒量はアセアン10カ国で第1位になるほどで、大のお酒好きな国民が作るお酒の多くは、40度を超えるアルコール度数となっている。村自慢のお酒を試飲した間さん、その感想は?
< 秘境の仏教文化 ~パークウー洞窟~ >
ルアンパバーンの船着場からメコン川を上ること25キロメートル、メコン川がナムウー川と合流する地点にあるパークウー洞窟は、川に面した切り立った崖にくり抜かれた2つの洞窟からなり、4000体以上の仏像が置かれている。その雰囲気は日本の「五百羅漢」のようで、メコン川流域に住む漁民が川の精霊を祭るための信仰の対象として存在している。16世紀にセタティラート王に発見されるまで、その存在は明かされず、まさに秘境と呼ぶにふさわしいスポットとなっている。