ネイチャードキュメント 奇跡の地球紀行

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シロナガスクジラと海鳥の聖地へ!
絶景!火山と氷河の島アイスランド
地球誕生の神秘に迫る

日本からおよそ9000キロ、北大西洋に浮かぶアイスランドは、人口およそ32万人、面積約10万平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートル当たり3人(日本は343人/平方キロメートル)という、国土の大半に手付かずの自然が残されている島国だ。複雑に入り組んだフィヨルド、ヨーロッパ最大級の氷河と多くの活火山という厳しい自然が、目を見張るような絶景を生み出している。今回、自然写真家の寺沢孝毅さんが、この類いまれな自然と珍しい生き物を求めて、アイスランドを北から南までを縦断。火山と氷河が生み出した、地球創世の鼓動を圧倒的な景観に感じながら、北部では、地球最大の動物、シロナガスクジラを求めて海に出る。そして、南部では、見た目も愛くるしい、ニシツノメドリ(愛称パフィン)の世界最大の営巣地に赴き、その知られざる生態にも迫る。

< 地球の裂け目 地下水脈にダイビング >

アイスランドの首都・レイキャビクの北東50キロメートルほどのところにあり、世界遺産にも登録されている「シンクベトリル国立公園」。間欠泉のゲイシール、豪快な滝のグトルフォスとともに、観光客にも人気の「ゴールデンサークル」と呼ばれる地域だ。ここでは、地球の割れ目"ギャウ"を見ることができる。アイスランドは、海嶺(かいれい)が地表に乗り上げている世界でも珍しい場所。
アイスランドの"ギャウ"は、ユーラシアプレートと北アメリカプレートに引っ張られることでできた割れ目で、アイスランドのほぼ中央を南北に貫いている。西部は西に、東部は東に引っ張られ、アイスランドの国土は年に2、3センチメートルほど広がり続けている。アイスランド各所で、"ギャウ"を見ることができるが、シンクベトリル国立公園内のものが最大規模だ。さらに、「シルフラ」というダイビングスポットがあり、水の透明度の高さでも有名だ。ユーラシアプレートと北アメリカプレートに引っ張られる割れ目の一部で、50キロメートルほど北にある、ラング氷河の溶けた水が、30年ほどかけ、溶岩台地を通ってここで湧き出している。水温は4度、150〜300メートル先まで見えるほどの透明度を誇るこの地下水脈に、寺沢さんが潜る。

  

< 北部アイスランド ホエールウオッチング >

そして、北部アイスランドへ。北アイスランドの自然の宝庫、ミーバトン湖は、面積37平方キロメートルで、アイスランドの中で4番目に大きい湖。平均水深は2.5メートルと浅い。ミーバトン湖周辺は、アイスランドでも最も火山活動や地熱活動が活発な地帯の一つで、"火の国"アイスランドが実感できる、最適なスポットだ。アイスランドの沿岸部では、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、ミンククジラ、シャチ、イルカなどを見ることができる。中でも、北部アイスランドのフーサビークは、世界でも屈指のホエールウォッチングの拠点となっている。かつては巨大な捕鯨基地だったが、現在は、ホエールウォッチングと漁業が盛んな町・フーサビークで、寺沢さんは、世界最大の動物、シロナガスクジラの姿を追う。

< 南部アイスランド 海鳥パフィンの世界最大級の営巣地 >

アイスランドの南西に位置する、ヘイマエイ島は、毎年70万カップルが飛来する、世界最大のパフィン(ニシツノメドリ)の営巣地になっていている。島民とパフィンとの関わりは深く、夏のフェスティバルには欠かせない食用でもある。そのパフィンが、近年激減している。今回、現地の研究者を訪ね、アイスランドの海に起きている異変を取材。愛くるしいパフィンの生態を追うとともに、島の人のパフィン保護活動を取材する。