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大自然の神秘 氷山の謎に迫る!
氷山は、大きいもので重さ200億トン、高さは数十階建てビルと同じほどだ。こうした巨大な氷山は、どのようにして生まれ、消滅していくのだろうか。
調査には大きな危険が伴うためこれまで詳しい研究が行われてこなかったが、氷河学者、物理学者、動物学者、ダイバー、カメラマンなど総勢20人あまりで構成された調査チームが、命懸けでその謎に挑む2回シリーズ。
第1回は、氷山が誕生する仕組みを解明する。北半球の氷山の95パーセントを生み出すグリーンランドに赴き、「ストア氷河」で調査を行う。氷河の流れる速度を測定し、氷河を動かす要因を明らかにする。
第2回は、氷河から生まれた氷山がどのように消滅するかを追う。
調査チームは、グリーンランドから流れ出た氷山を追って、カナダ沖に移動。外周27キロにも及ぶ巨大な氷山を観測し、これがどのように崩壊するのかを、様々な仮説の元に検証する。
第1回は、氷山が誕生する仕組みを解き明かす。
氷河学者、物理学者、ダイバー、カメラマンなど総勢20人あまりで構成された調査チームは、北半球に浮かぶ氷山の95パーセントが作られるグリーンランドへ向かった。
チームが観測するのは、グリーランドの氷河の中でも規模の大きな「ストア氷河」。まず科学者たちは、氷河がどれくらいの速さで動いているのかを測定するため、氷河の先端に計器とカメラを設置する。また、巨大なストア氷河がなぜ動くのかを解明するため、上流にある湖の中にカメラを据えた。
氷河の先端は氷の崖。その大きさを測定すると、水面下の氷の壁は、海上に出ている部分の4倍もの大きさがあり、えぐれた形をしていた。
調査の結果、上流にある湖の水量は、オリンピックプールの2000個分。氷河の移動速度は、1日25メートル。また比較的温かい海水によって、水面下の氷河が、えぐられていることがわかった。氷河は湖から流れ出る大量の水によって海へと動かされる。さらに水面下では温かい海水によって、氷河の先端である氷の崖の根元が削られる。 やがて先端部の崩れ落ち、それが氷山となるのだ。
第2回、氷山はどのようにして消滅するのかを解明する。調査チームは、カナダ沖でグリーンランドから流れ出た巨大な氷山を観測する。科学者たちは氷山が崩壊する原因として「海水が氷山を解かす」と「波の力で氷が小さく割れる」という2つの仮説が立て、それを検証する。
氷山の外周は27キロ、体積は200億立方メートル。その水量は、イギリス国民が200日生活できるほどである。この氷山には10頭以上のホッキョクグマが生息していた。
科学者たちは、ホッキョクグマに注意しながら、観測機器を設置する。調査の結果、波の動きは氷山の崩壊には関係ないことが明らかになる。氷山が壊すのは水深が浅い所の温かい海水であった。これが水面下の氷山を溶かし、崩落させていたのだ。
そして今回、ナビゲーターである、女優・宮崎美子が訪れたのは、
2010年に開館した東京都立川市の「国立極地研究所 南極・北極科学館」。
南極や北極の観測や研究活動がどのように行われているかを紹介、実際に現地で使用された道具なども展示されている施設だ。
例えば、「アークティック(北極)データアーカイブシステム」という装置で年代ごとに北極圏の氷河の大きさを確認しながら、氷の面積が小さくなっている事実を知り、「オーロラシアター」では南極や北極のオーロラの映像で、極地の世界を体感。さらに、実際に南極の氷に触れたり、「ダジックアース(4次元デジタル地球儀)」では、衛星データによって、オゾン層の広がりや範囲を確認することもできた。