パナソニック スペシャル 次世代への羅針盤 伊藤元重の経済×未来研究所

第19回放送テーマ
5月29日(土) 夜8:00~8:55


「コラボレーションの魅力 ~シナジー効果が活力を生む~」

一般的にコラボレーションとは、2つ以上の企業がひとつの目的で協力することを意味する。経済学では「シナジー効果」と呼んでいるが、別に最近の流行ではなく、昔からキャンペーンなどでは行われていた。また、「第3セクター」や「産学官共同研究プロジェクト」なども広義の意味でコラボレーションの範疇。算数なら「1+1」は「2」になるのが常識だが、コラボレーションの魅力は「1+1」が、「5」にも「10」にも化学変化を起こし、単純な足し算以上の効果が見込める。協力する企業同士の良い所が際立ち、悪い部分は打ち消すことができ、また、両者が持っていなかった新しいノウハウが生まれることもあり、企業の価値観・消費者の期待感が、何倍にも膨れ上がる現象が起こるのだ。今回、番組では、その様々なケースを紹介する。


「タカラトミー」
発売から40年以上経った今でも、変わらぬ人気を保ち続けている「リカちゃん」。2000年に開催された九州・沖縄サミットでは、広報戦略として外務省が公式に採用したのが、琉球舞踊の衣装をまとった「サミット・リカちゃん」だった。この前例のないPR戦略が話題となり、「人形の久月」、「サカタのタネ」など、多くの企業がリカちゃんとのコラボレーションを企画し、WIN-WINの関係を築いていった。

「MOSDO(モスド)」
モスバーガーとミスタードーナツ、それぞれの商品を同一店舗で提供する、業界初の新型店。その名も「MOSDO(モスド)」。2008年より、資本・業務提携を結んでいた両社が、威信を懸けた一大プロジェクト。モスバーガーは、店舗内での食事がメインであるため、食事時間帯以外は空席が目立つ。一方、ミスタードーナツは、午後3時以降のテイクアウトが主流である。お互いの弱みを打ち消すことが出来るか、否か・・・このコラボレーションは、今後の経営戦略をも左右する、重要なプロジェクトだ。その1号店が4月23日に広島にオープンした。

「宝島社」
ブランド小物を付録につけた書籍「ブランドムック」。初版で100万部を越えるものもあり、今、爆発的なヒットとなっている。読み物としての興味もさることながら、魅力はやはり、有名ファッションブランドのおしゃれな小物が格安に手に入ることだ。このブランドムックを仕掛けて、大成功を収めているのが、宝島社である。宝島社ではこのブランドムックをどのように企画、開発しているのか。その成功の秘訣を探るため、伊藤教授が訪ねた。

取材先
・タカラトミー
・MOSDO(モスド)
・宝島社


ゲストコーナー

品田英雄 (日経エンタテインメント! 編集委員)

ゲスト:品田英雄 (日経エンタテインメント! 編集委員)

1957年生まれ。東京都出身。
1980年学習院大学法学部卒。同年ラジオ関東(現ラジオ日本)入社。
87年日経マグロウヒル(現日経BP社)入社。
週刊誌記者、開発室等を経て、97年「日経エンタテインメント!」創刊、編集長に就任する。その後、発行人を経て07年から編集委員に就任。テレビ・ラジオのコメンテーターも務める。著書は「ヒットを読む」(日経文庫)など。