ザ・インタビュー ~トップランナーの肖像~

ザ・インタビュー ~トップランナーの肖像~

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2月28日(土)ゲスト:姜尚中

政治学者・姜尚中。東京大学名誉教授。現在、聖学院大学学長でもあり、著書は『在日』、『愛国の作法』、『デモクラシーの冒険』など政治思想を鋭く分析するものから、『悩む力』、『リーダーは半歩前を歩け』、『心の力』など生きる力になる著書まで幅広い。最近では小説にも挑戦しているという。

また、声高に自らの主張をする討論番組のコメンテーター陣の中でただ一人、冷静に優しい口調で話す独特の存在感。寡黙で冷静な政治学者の本質に、姜と何度も番組やイベントで共演してきた小島慶子が迫る。

インタビューの場所は、姜が学長を務める聖学院大学。大学がある埼玉県上尾市は、姜が所帯を持ち、子供を授かった思い入れの強い場所…。インタビューは自然に「家族」の話となっていった。実は、姜の愛する息子は心の病を抱え、 20代半ばという若さで亡くなっている。

2013年に発表された姜の小説「心」は、死とどう向き合っていけばいいかを掴み取っていく物語。息子を亡くした埋めることのできない喪失感の中で実感した、様々な思いが小説には綴られ、深い悲しみの中で、駆り立てられるように書いた作品だったという。

作品を読んだ小島は、「人が生きていく中で遭遇する苦難や悲しみを、どう受け止めて、それをどう乗り越えていくのか」を姜に深く聞いていった。

政治学者とは別の、「人間」姜尚中の姿が明らかになる。

3月1日(日)ゲスト:野田秀樹

劇作家・演出家・役者という一人三役に加え、東京芸術劇場芸術監督、多摩美術大学教授という様々な顔を持つ野田秀樹。東京大学在学中の1976年に「劇団 夢の遊眠社」を旗揚げし、テンポの速い冗舌なせりふ回しや語呂合わせを駆使するなど、既存の演劇の常識を覆すスタイルで若者たちから熱烈な支持を集め、80年代の小劇場ブームを代表する劇団となる。しかし、人気絶頂の中、92年に劇団を解散。

その後は、毎回俳優を集めて上演するプロデュース公演のスタイルをとり、宮沢りえ、深津絵里、天海祐希、松たか子、堤真一、藤原竜也、妻夫木聡など、今をときめく多くのスター俳優たちから出演を熱望され、次々と話題作を発表。 その人気は海を越え、アメリカ・ヨーロッパ・アジアなどで上演され、高い評価を得るようになる。今年60歳を迎えるが、その勢いは一向に衰えず、今年3月からは野田が作・演出・出演する「エッグ」をパリで上演。現代演劇界のトップランナーとして挑戦し続けている。

収録が行われたのは、野田が作・演出・出演を務める舞台「エッグ」上演期間中の2月中旬。上演場所の池袋・東京芸術劇場のすぐそばに建つホテルの中の、野田がよく利用する中華料理店にて行われた。3月にキャスト・スタッフ全員を率いて、パリでの上演に挑む野田。既に野田はこれまでに海外で上演し、大きな評価を得てきたが、しかしそれは全て小規模公演。今回上演する「エッグ」は、出演者の数も多く、スケール感の大きい大作だ。しかも出演者は全て日本人、日本語公演し、フランス語字幕を流すという。果たして演劇に対して目の肥えたフランスの観客を唸らせることが出来るのか?また興行的なリスクも大きい。日本の演劇界では頂点を極めた野田が、何故大きなリスクを抱え、海外公演に挑むのだろうか?

80年代の小劇場ブームでは既存の演劇にアンチテーゼを示し、「ザ・キャラクター」(2010年)でオウム真理教、「南へ」(2011年)で富士山の大噴火、「MIWA」(2013年)では長崎の原爆投下、また今回パリで上演される「エッグ」では731部隊など、商業的には決して向かないポリティカルな問題を扱い続けてきた野田。また中村勘三郎丈と組んで歌舞伎に挑戦、更には大学教授、東京芸術劇場芸術監督に就任し、欧米と比べ、演劇が文化として根付いていない日本で演劇の人材や拠点を築くべく孤軍奮闘している。

何故野田は闘い続けるのか?その根源は何なのだろうか?また現代演劇という特性柄、常に時代と向き合い続けて来た野田に今の日本、そして現代社会はどう見えるのか? 硬軟織り交ぜたトークを繰り広げながら、世界が注目する演劇人・野田秀樹の才能と素顔を紐解いていく。