ザ・インタビュー ~トップランナーの肖像~

ザ・インタビュー ~トップランナーの肖像~

  • トップページ
  • バックナンバー
  • contents4

バックナンバー

11月29日(土)ゲスト:辻村寿三郎

今年81歳を迎えた辻村寿三郎は、人生のほぼ全てを人形作りに捧げてきたという。 27歳の時に人形師として独立してから才能が一挙に開花。「現代人形美術展」に毎年のように入選、特選が続き、「天井桟敷」の寺山修二、「状況劇場」の唐十郎などと組んで、〝ジュサブロー人形〟はアンダーグランド芝居の舞台に登場。

そして1973年、当時一世を風靡したNHKの連続テレビ人形劇「新八犬伝」の人形美術を担当した事で、辻村寿三郎は人形師としての名声を得た。 その後も蜷川幸雄演出の舞台で、舞台衣装とアートディレクターを担当。人形創りで培われた色彩美が舞台衣装の世界に一大センセーションを巻き起こす。

さらに辻村の才能は国内だけに留まらず、自らが脚本を書き、演出をした人形劇で 海外公演を積極的に行うなど、その才能は海外でも高い評価を受けた。 その創作活動は80歳を超えた現在でも衰える事を知らず、人気アニメ「ワンピース」のキャラクター人形を創作するなど、いまだ注目を集めている。

そんな傑物ともいえる一人の人形師・辻村寿三郎に、ジャーナリスト・嶌信彦が鋭く切り込む。インタビューの場所は東京の下町、人形町にある辻村寿三郎のアトリエ「ジュサブロー館」で行われた。数多くのジュサブロー人形が展示されており、辻村は今もここで創作活動を続けている。

「ジュサブロー人形はどこか普通の人形とは違う…。妖しくて、美しい…。それでいてどこかピュア…。まさに変幻自在だ」と嶌は言う。見る者を惹きつける人形を創作し続けるその根底にあるものとは、一体何なのか?

インタビューが進むにつれて明かされたのは、辻村が体験した戦争。広島の爆心地跡で子供だった辻村が目にした壮絶な風景…、その体験から生まれた一組の人形。その人形には人形師・辻村寿三郎の原点が隠されていた。そして60年安保闘争で、若き辻村の生き方そのものを変えたという女性活動家の「叫び」。さらに辻村が尊敬していた作家、三島由紀夫の死。昭和という激動の時代を歩んできた辻村寿三郎の人生観から見えてくるジュサブロー人形の魅力とは? さらに、辻村寿三郎の中に眠る「男と女」、そして性を超越した一人の人形師が自らに課す「掟」とは? 人形師・辻村寿三郎の内面に鋭く切り込み、その独特な美の世界観を紐解いていく。

11月30日(日)ゲスト:室伏広治

ハンマー投げ選手・室伏広治。2004年アテネ五輪で金メダル、2011年世界陸上韓国テグ大会では、大会史上最年長36歳325日での金メダル。世界陸上とオリンピック両大会で金メダルを獲得した。また2014年の日本陸上競技選手権大会では前人未到の20連覇を達成。40歳になった今も現役選手、その衰えを感じさせないチカラに迫る。

「アジアの鉄人」と呼ばれ、ハンマー投げ日本記録保持者の父・重信さんの背中を見て育った室伏は、一度も父にハンマー投げを勧められた事はなかったという。しかし、ある金メダリストとの出会いによってハンマー投げに憧れた。その人物との思い出とは?

高校一年生で本格的にハンマー投げを始め頭角を現し、高校新記録を樹立。そして父が勤める中京大学へ進学。世界トップレベルを目指し、在学中に国際大会に出場し始める。この経験から海外遠征を経験しないとオリンピックで勝つ事は出来ないと室伏は確信を持つ。

2004年のアテネ五輪では繰り上げで金メダルを獲得。胸の内は複雑だった。 2度目の金メダルを目指し挑んだ2012年ロンドン五輪では、1投目がファールの判定。大会側のミス、とも思われるこの判定。当時起きた出来事を赤裸々に語る室伏。そこには後輩選手達を想う姿があった。

また、オリジナリティーあふれる一見ユニークな室伏のトレーニング。その映像を見ながら、スポーツにとって一番大切な練習方法、年齢から来る体力の低下を補う方法を解説する。そこには実に理にかなった室伏流トレーニング理論があった。

2011年3月におきた東日本大震災。室伏は被災した子供達との触れ合いを通し、逆に子供達からチカラをもらったという。そして挑んだ2011年世界陸上韓国テグ大会では大会史上最年長、36歳325日で金メダル。このとき、室伏を奮起させたのは石巻の子供達からの言葉だった。子供達との絆を室伏は熱く語る。

今年、長年勤めていた中京大学から東京医科歯科大学に教授として招かれ、新たな挑戦に挑んでいる。選手と同時に研究者という立場から、スポーツ科学を医学と融合させ、現在活躍している選手の選手生命を延ばす研究を始めた。そこには日本スポーツ界の未来がある。室伏の新たな挑戦が明かされる。

インタビュアーはテレビ朝日エグゼクティブアナウンサー・宮嶋泰子。父、重信さんの選手時代から、長年室伏を見守ってきた。様々な活躍を見つめてきた宮嶋だからこそ室伏広治の知られざる素顔を引き出していく。