映画情報

2014年2月17日
韓国の歴史的タブー「済州島4・3事件」を描く『チスル』が3月公開へ

1948年、3万人以上ともいわれる島民が虐殺された「済州島4・3事件」を描いた韓国映画『チスル』(監督・脚本オ・ミヨル)が公開される。
1948年4月3日、南朝鮮だけの分断・単独選挙に反対して、済州島の一部島民たちが武装蜂起する。それに対し、米軍政及び韓国の軍警は、「海岸線5Km以外にいる人間は暴徒と見なし、無条件で射殺せよ」という戒厳令を宣言し、鎮圧という名の無差別な虐殺が始まる。弾圧は1954年まで続き、3万人以上の罪なき島民が犠牲となるのだった―。
タイトルの「チスル」とは、映画の舞台となった、今では韓国随一のリゾート地として知られる済州島の方言で「ジャガイモ」のこと。「済州島4・3事件」の実話をもとに、負傷した軍人にまでジャガイモを差し出すような島民の温かさ、戒厳令下、殺す・殺されるという状況の中で生きる島民の恐怖や葛藤を、モノクロ映像で淡々と描いている。
この映画は、韓国で13万人を動員、ヤン・イクチュン監督『息もできない』のインディペンデント映画の動員記録を塗り替え、異例の大ヒットとなった。釜山国際映画祭でもNETPAC賞、市民評論家賞、映画監督組合賞、CGVムービーコラージュ賞の4部門を席巻。インディペンデント映画祭として世界最大級の米・サンダンス映画祭では韓国映画として初めて審査委員大賞を受賞したほか、オランダ・ロッテルダム国際映画祭、フランス・ヴズール国際アジア映画祭などで世界でも注目された。
『チスル』は3月下旬より、渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開。