映画情報

2011年12月5日
「東京フィルメックス」にキム・ギドク監督やパク・ジョンボム監督ら来日

「東京フィルメックス」にキム・ギドク監督やパク・ジョンボム監督ら来日

独創的な作品を集めた国際映画祭「東京フィルメックス」が11月19日~27日まで開催され、映画『アリラン』のキム・ギドク監督、『ムサン日記~白い犬』のパク・ジョンボム監督らが来日、観客とのQ&Aを行なった。

映画『アリラン』は、3年前にさまざまな出来事が重なり、映画を撮影できなくなったキム・ギドク監督が山にこもり自問自答したセルフドキュメンタリー映画。この上映チケットは3分で完売するほどの人気で、終演後行われた観客とのQ&Aで「ご覧になった皆さんの前にいることが恥ずかしい」とあいさつし、観客の質問に誠意をもって答えた。

誰かがドアをノックするシーンについては「私の映画を待っている人がいることを表現したかった」と説明し、自身の映画『春夏秋冬…そして春』を見て泣くシーンについて「人生のサイクルを撮影した唯一の作品。心の中の悲しみや苦しみが一致したので取り入れたが、自分でも涙が出るとは思わなかった」と話した。
どうしても避けられないときは、との問いに「喜怒哀楽のように人に変化を与えようとしても、人間はスポンジではないので吸収ができない。そのプロセスで人生の器が満たされていく」と答えると「今、まさに日本は苦しい状況に置かれている。人は信念や信頼を諦めてはいけない。人間の信念のエネルギーは強い。時間がかかっても今の悩みや苦しみは解決できる。私も寂しく『アリラン』を撮影したが今皆さんの前で語っている」と日本にエールを送ると、最後に映画の中で歌っている「アリラン」を観客に聞かせた。

また、『ムサン日記~白い犬』では、監督・主演を務めたパク・ジョンボム監督、ヒロインのカン・ユンジン、友人役のジン・ヨングク、ソ・ジンウォンとフレッシュな俳優も登壇しQ&Aに参加した。作品を撮ろうと思ったきっかけを「モデルは大学の後輩。幸せになりたいが現実は幸せになれない」と感じたことがきっかけだと話した。出演俳優たちは「撮影が大変だった」と口々に話すと、ヒロインのカン・ユンジンは「過酷な条件下での撮影だったが、監督を信じて付いていった」と当時を振り返っていた。

なお、東京フィルメックスで『ムサン日記~白い犬』は審査員特別賞、『アリラン』は観客賞を受賞。両作品とも、2012年に日本での公開が決定している。