文化遺産の旅
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宮城・大崎市 大和町



今回の訪問地は、宮城県の大崎市と隣の大和町。旅情あふれる冬の東北を歩き、様々な文化を紹介する。
旅の始まりは、大崎市の鳴子温泉から。江戸時代創業の老舗旅館・ゆさやを訪ねた。現在の建物は明治時代の建築。歴史ある木造建築と認められて、国の文化財に登録されている。特徴ある温泉の湯もまた、味わい深い。雪国の温泉ならではの風情に、声の旅人・寺田農の語りも弾む。
旅は続いて田尻地区の祇劫寺に向かう。本堂は、宮城県の寺院建築史に名を連ねる文化財だ。広大な敷地にそびえるコウヤマキの大木もまた、凛々しい。樹齢を重ねた見事な古木だ。長い時の流れを生きてきた風格が、寺田農の心を惹きつける。
旅の後半は、大崎市の南へ。黒川郡大和町に足を伸ばす。吉岡八幡神社は、朱塗りの門が荘厳な姿。造営は、江戸時代と伝えられている。
神社では折しも、島田飴祭りが開かれていた。縁結びを願って、町の内外から人々が集う。やがて、視線が一点に注がれた。嫁入りを模した、花嫁道中行列の始まりだ。美しい晴れ姿を見つめて、寺田も父親のような思いを抱く。祭りの名物は、髪形を模った島田飴。年に一度の限定販売に、人々の心も踊る。しばしの喧騒も、すべては良縁の願いから。新しき年に幸あれ。宮城県大崎市と大和町の文化は、故郷にしっかりと根付いていた。