文化遺産の旅
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岩手県・遠野市編



今回の訪問地は、岩手県。北上山地を擁する高原の町、遠野市の文化を紹介する。
まずは、荒川高原牧場へ。広大な草原に馬が駆ける情景は、遠野の原点。景観そのものが、文化財に指定されていた。
馬の文化は、家の造作にも影響を及ぼしている。南部曲り家は、鉤の手に曲った家に厩を取り込んだ、独特の作り。馬と一体になって暮らす、千葉家住宅を訪れた。江戸時代に建築された家には、今も家族が住んでいる。声の旅人・寺田農が聞き出す話も興味深い。
遠野には、奇妙な民話が多く伝わっている。それらは柳田国男によって、文学作品にまとめられた。名作「遠野物語」の誕生だ。遠野市内各所には、物語の舞台となった地が、至るところに実在していた。カッパ淵の流れは、当時の雰囲気をそのままに留めている。
旅の後半は、遠野ふるさと村の催し物「秋物語〜庭仕舞」を、たっぷりと描く。声の旅人が魅せられたのは、板沢しし踊り。数百年の歴史を持つ、伝統的な獅子舞だ。遠野物語にも、しし踊りの歌が記されている。おそらく、柳田国男も同じ舞いを見たのだろう。時の流れを超えて、遠野の文化は脈々と受け継がれていた。