文化遺産の旅
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北海道・旭川編



今回の訪問地は、北海道。上川盆地の中心に栄えた、旭川市の文化を紹介する。

旅の始まりは、旧旭川偕行社から。明治時代に、陸軍将校の社交場として作られた建物だ。六角堂を備える優雅な建築は、当時のまま。現在は、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館となって、市民に愛されている。

当時の陸軍は、旭川市内に様々な施設を設けた。声の旅人・寺田農は、騎兵第七連隊覆馬場に向かう。冬の降雪時でも軍馬を訓練できるよう、巨大な屋根を架けた馬場跡だ。建物は今も残り、バス会社の整備工場に使われていた。

旅の後半は、市内を出て石狩川沿いに西へ。流れの早い渓谷に、神居古潭を訪ねた。侵食によって作られた奇岩・甌穴の景観は、日本地質百選にも選ばれている。竪穴住居の跡も数多く見つかっており、調査が進められていた。どんな歴史がわかるのだろうか。声の旅人も、渓流を興味深く見つめる。

再び旭川市内に戻って、上川レンガ倉庫群へ。明治末から大正初期にかけて作られた倉庫が、今も立ち並ぶ。保存のみに留まらず、イベント・ホールやギャラリーに使われているのが嬉しい。

旅路の果てに旅人を待っていたのは、旭川の郷土文化。勇壮な神楽岡太鼓の実演だ。時代は変わっても、文化は風雪に耐えて受け継がれていく。旭川の文化遺産は、人々の温もりに守られていた。