文化遺産の旅
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岡山県・備前備中編



今回の訪問地は、岡山県。岡山市と倉敷市を訪ねて、山陽道の文化を紹介する。

旅の始まりは、岡山市から。岡山城と後楽園は、郷土の象徴。市民が誇る、歴史と文化が香っていた。

声の旅人・寺田農は、続いて旧旭東幼稚園舎を訪れた。八角形の建物が、美しい。均整の取れた構造には、ある教育上の配慮があった。明治時代の人々が考えた構想に、旅人は感慨を覚えた。

次に向かったのは、近水園。旧足守藩主が造った日本庭園だ。池の水面と、吟風閣が静かな佇まい。岡山県の指定名勝として、手入れも行き届いている。

旅は進んで、坂野鉄次郎の記念館へ。郵便中興の祖と呼ばれた、郷土の偉人だ。興味深い物語に、声の旅人も思わず聞き入ってしまう。

後半は、倉敷市へ。川の畔には、なまこ壁の蔵や屋敷が立ち並ぶ。江戸時代の初め、水運の中心となって栄えた名残だ。歴史を湛えた町並みを行けば、伝統的な建造物が次々と現れる。市民の保存活動も活発だった。

旅の締め括りは、倉敷天文台。観測室のスライディング・ルーフを開けば、歴史的な反射望遠鏡が顔を覗かせる。イギリスからの輸入にまつわる逸話には、倉敷の人々の情熱が感じられた。岡山県の文化は、人々の手で紡がれて今に伝わっている。旅人は改めて、文化継承の心意気に感謝した。