文化遺産の旅
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新潟県・雪の新潟編



今回の訪問地は、新潟県の上越市と十日町市。冬の雪に育まれた、越後の文化を訪ねた。
旅の始まりは、上越市の高田城から。徳川家康の子・松平忠輝が築いた城跡に、当時の栄華を見た。水堀を巡らせた中に、三重の櫓が映える。史実を研究して忠実に復元したとのこと。後世に文化を伝える手法の一つとして、嬉しい配慮がなされていた。
近くには、前島密の記念館もある。幕末に生まれて明治の新政府で活躍した、郷土の偉人だ。郵便の制度を整えたことから、前島は「日本近代郵便の父」と呼ばれていた。声の旅人・寺田農は、前島の足跡を辿って思いを馳せる。
旅の後半は、さらに雪深い十日町市へ。日本三大薬湯に数えられる松之山温泉へと向かった。老舗の旅館・凌雲閣は、昭和初期の建築。優美な造りが認められて、国の有形文化財にも指定されていた。
声の旅人は、続いて松代の松苧太鼓を堪能する。上杉謙信の戦勝祈願に由来する、歴史的な伝統芸能だ。その響きは、雪と大地を揺るがす迫力。四百年の時を超えて受け継がれた文化は、正に圧巻であった。
北陸道は、京都から数えて越前、越中、越後と並ぶ。かつての新潟県は、旅路の果てであったのだろう。それでも、雪国ならではの文化が生まれている。旅人は、降り積もる白銀の向こうに、人々の熱き思いを見た。