文化遺産の旅
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お江戸・日本橋編



今回の訪問地は、東京・日本橋界隈。新春スペシャルとして、寺田農が実際に街を歩く。「花のお江戸」には、どんな文化が息づいているのだろうか。

旅の始まりは、架橋100周年を迎えた日本橋から。江戸時代には、五街道の起点として賑わった場所だ。その文化は受け継がれ、現在も日本国道路元標が定められていた。

人が行き交えば、交易も栄える。日本橋は、水運と物流の要。かつては魚河岸や伝馬場などが置かれ、問屋と商人の町へと発展した。また、明治に入っては郵便事業が産声を上げた場所も近い。旅人・寺田農は、随所に残るそれらの足跡を訪ねて回り、感銘を深めていく。

道中で堪能するのは、伝統の味覚。昭和初期の木造建築を保存活用した料理屋は、食事も建物も風格充分。また、当時の人気女優にまつわる意外な逸話も聞いた。

やがて辿り着いたのは、「石町時の鐘」。江戸時代に作られて時を知らせていた鐘が、今も大切に保存されている。旅人・寺田農の胸中に、とある思いがよぎった。「お江戸日本橋、七つ発ち…」懐かしい調べにつながる鐘の音が、心に響いて来る。昔から、旅と出立の時間は重要な関係。江戸時代の時を刻んだ鐘は、凛として旅人の目を魅きつける。文化を受け継いで重みを増したその姿は、人々に新たな年の幸いを告げているかのようであった。