文化遺産の旅
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大分県国東半島編



今回の訪問地は、大分県。伊予灘と周防灘に突き出した、国東半島の文化を紹介する。

旅の始まりは、宇佐神宮から。神輿発祥の地とも伝えられる、歴史ある神社だ。その佇まいは、独特の雰囲気。一説によれば、邪馬台国は国東半島であったと唱える者もいる。声の旅人・寺田農は、謎深い文化を求めて歩みを進めた。 

国東半島は、仏の里とも呼ばれている。険しい地形を活かして、修業の場となったのだ。他に類を見ない石仏も、随所に点在している。声の旅人は、元宮磨崖仏、鍋山磨崖仏、熊野磨崖仏と訪ねて歩き、石仏の文化を紐解いて行く。

また、石の文化は仏像だけではない。岩戸寺には、鎌倉時代の作と推定される宝塔があった。国東半島の周辺だけに見られる、「国東塔」という様式だ。大分県内にある約5百の宝塔のうち、9割は国東半島に集中しているという。謎はさらに深まった。

旅は続いて、老舗の酒蔵へ。創業は明治初期。醸造所の敷地内には、歴史ある煙突や蔵が残っている。その価値は高く、文化遺産に指定されていた。

やがて日は落ち、夜の闇がやって来る。古くから伝わる奇祭・ケベス祭りの始まりだ。始まりも由来も、一切が不明。炎を巡って「ケベス」と「トウバ」が闘う壮絶な祭りに、旅人は息を呑む。遥か昔、国東半島の地に何かがやって来たのであろうか。漆黒の夜を背景に、輝く火の粉が舞い続けていた。