文化遺産の旅
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福島県・南会津の山里編



今回の訪問地は、福島県の南会津。山里を縫う旧街道に栄えた文化を中心に、紹介する。

旅の始まりは、下野街道の大内峠。旧道の一里塚に見送られて、声の旅人・寺田農は大内宿へと向かう。

宿場の景観は、江戸時代のままの姿。一軒毎の大きさは、敷地95坪、建物40坪と定められ、外見も揃った家々が並んでいる。築350年の古民家を改築した蕎麦屋に入って、中を拝見。囲炉裏のある座敷も、歴史ある風情だ。

次いで訪れたのは、会津鉄道・湯野上温泉駅。日本で唯一の、茅葺き屋根駅舎は、まるで大内宿の趣を写し取ったかのよう。渓谷の鉄道に揺られて、先を目指す。

やがて目の前に現れたのは、「塔のへつり」と呼ばれる奇岩。声の旅人は、険しい崖の岩肌に、大自然が創った美を感じ取った。

さらに山里深く分け入って、辿り着いたのは檜枝岐村。江戸時代から続く、農村歌舞伎の舞台が旅人を待っていた。その歴史を聞いて、驚きはさらに深まる。260年以上も前から、村人たちの間で歌舞伎が上演されているのだ。演じるのはもちろん、素人の村民ばかり。親から子へ、子から孫へと伝統が受け継がれていた。この思いこそ、文化の真髄。新たに加わった若い座員にも話を聞き、山間の村に伝わる歴史と文化に耳を傾ける。