文化遺産の旅
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山梨・勝沼編



今回の訪問地は、山梨県甲州市。旧勝沼町のブドウに端を発する文化を紹介する。

旅の始まりは、甲州街道・勝沼の宿場から。江戸時代の趣を伝える、屋敷や土蔵が立ち並んでいる。その一つ、仲松屋はブドウの商いで栄えた商家。いにしえの面影を残した家構えが、長い歴史を語っていた。

甲州ブドウは、どこからやって来たのか。声の旅人・寺田農は、ルーツを求めて大善寺へ向かう。文化遺産に指定された重厚な山門をくぐると、凛とした薬師堂が待っていた。甲州ブドウ発祥の逸話が伝わる名刹だ。

続いて訪れたのは、ワイン資料館。明治時代の醸造所を使って、ワイン醸造の貴重な歴史資料を展示している。先人の情熱と創意工夫に、声の旅人も興味津々。勝沼ワインの黎明期へと、思いを馳せる。

良いワイン作りには、良いブドウが必要。明治から四代続くブドウ農家を訪ね、家族の奮闘を聞く。曽祖父の苦労を受け継いだ農園は、実り豊か。神々しいほど壮観な眺めだった。

旅の締め括りは、ワイン貯蔵庫・龍憲セラーへ。レンガ積みの半地下式トンネルには、創業者の思いが染み込んでいる。役割を終えた今でも、庫内には香りが漂っているかのよう。郷土勝沼の伝統文化を創った人々の夢は、永遠に語り継ぎたい物語だった。