文化遺産の旅
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山口県・萩編



今回の訪問地は、山口県萩市。城下町と港町が並び立って織り成す、好対照の文化を紹介する。
旅の始まりは、指月山に築かれた萩城跡から。今は石垣と堀を残すのみだが、雄大な遺構に往時を偲ぶ。城趾内には、藩主・毛利家ゆかりの建物が並んでいた。いずれも、萩市内各所から移築された江戸期の文化遺産だ。
声の旅人・寺田農は、萩城から城下町へ。毛利家の菩提寺に奇妙な謎を感じる。奇数代、偶数代に別れて、二つの寺に祀られているのだ。その理由は何か。住職から、意外な回答が明かされる。
さらに城下町を行けば、そこは江戸の面影を残した平安古地区。町全体が文化遺産に指定されている武家屋敷町だ。声の旅人は、鍵曲と呼ばれる迷路状の路地に「常在戦場」を意識した武士の魂を感じ取った。 
後半は、海沿いの浜崎へ。江戸時代から栄えた商家が並ぶ。日本海へ繰り出す漁船と、物資を運ぶ北前船が行き交った港町だ。一帯は、伝統的建造物群保存地区に指定されている。二百年の歴史を刻む土蔵や、藩主の御座船を格納した御船倉は、風格に満ちていた。
船と海の文化は、大漁旗の技術を活かした現代工芸にも受け継がれている。旅人は、鮮やかな色合いの中に、萩の人々の熱い思いを垣間見た。