世界の名画 ~美の殿堂への招待~

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ストーリー

ルノワール・ドガ 印象派の至宝 パリ・オルセー美術館

番組名

1874年、保守的な画壇に反旗を翻したパリの若き芸術家たちが美術展を開きます。のちに印象派と呼ばれることになる彼らは、これを皮切りに革新的な作品を次々と世に問い続け、世界の美術に一大ムーブメントを巻き起こしました。そんな画家たちの傑作を一堂に集めた印象派絵画の宝庫が、パリ中心部、セーヌ川のほとりにあるオルセー美術館です。
印象派の画家たちは、創作の場をアトリエから戸外へと移し、自然の光を追い求めました。木漏れ日が降り注ぐ屋外のダンスホールを描いたルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」は、印象派の理念を象徴する傑作のひとつです。しかし、光を描きながらも、彼が表現しようとしたのはあくまで人間でした。「絵画は明るくて楽しいものであるべき」――ルノワールはそんな信念のもと、パリ市民の喜びあふれる姿を描き続けたのです。楽天家で友人も多かったルノワールとは対照的に、気難しく仲間との衝突も絶えなかったのがドガでした。作風も他の画家たちとは一線を画し、彼は人工の光に美を追い求めました。オペラ座のバレリーナを大胆な構図で描いた「スター、舞台の踊り子」は、「踊り子の画家」と呼ばれたドガの最高傑作です。オルセー美術館に収められた絵画は約5500点。それらは19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、印象派からポスト印象派、そして象徴主義と、新しい芸術が続々と登場した美術史の激動の時代の記録でもあるのです。
美術館の建物はもともと、1900年のパリ万博に合わせて建てられた鉄道の駅舎でした。その面影は今も随所に残り、当時と同じたたずまいで営業するレストランは美術館を訪れる人たちの楽しみのひとつとなっています。
1986年の開館以来、ルーブル美術館と並び芸術の街パリを象徴する顔となったオルセー美術館。印象派の巨匠たちの代表作から隠れた名品まで、創作の背景にも光を当てながら紹介し、オルセー美術館の魅力に迫ります。