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今よみがえる 氷河期の動物たち 2 氷の世界
最新の研究と独自の迫力あるCGで、氷河期に生きた動物たちの生態を解き明かすシリーズ、第2回。
緑の楽園の次に紹介するのは、巨大な氷で覆われた世界。ここでは、いかに寒さに適応するかが課題だった。暖かくて一年中温度があまり変わらない洞窟は多くの動物が好む場所。ルーマニアの洞くつからは、クマの一種ホラアナグマやライオンの仲間などさまざまな動物の骨が見つかっている。
その後、地球がより一層寒くなると、草食だったホラアナグマは食べ物が不足して生き延びられなくなっていった。一方で、寒さに適応した身体をもったマンモスやサイの仲間などが繁栄する。全身を毛が覆い尽くし保温効果が抜群だったからだ。
しかし、やがて寒さに強い動物たちにも絶滅の時がやってくる。氷の世界で一体何が起きたのか?
この謎について、氷河期の動物を専門とする学者たちが科学的研究をもとに解説。ベールに包まれた氷河期の世界が、最新のCGで今よみがえる。
地球の氷河期は250万年に始まり、その後寒くなったり暖かくなったりを繰り返した。そして、8万年ほど前、再び寒くなり最終氷河期に入っていく。北極の氷は徐々に拡大し、氷の世界で暮らす動物たちは生きるか死ぬかの厳しい闘いを強いられたのだ。
はじめに紹介するのは、一年中温度が一定で暖かい洞窟で暮らす動物たち。ルーマニアの洞くつからは、クマの一種ホラアナグマの骨が大量に見つかっている。ホラアナグマはヒグマよりも3割ほど大きく、その体を維持するために大量の木の実を食べていた。しかし、気温が下がると植物が育たなくなり、食べ物に困るようになっていった。ライオンの仲間ホラアナライオンも、元来草食だったものの、食べ物に困り、洞くつ内の他の動物を襲っていたようだ。
一方で、生き延びた動物もいる。毛サイと呼ばれるサイの仲間だ。彼らは名前の通り全身を毛で覆って寒さから身を守っていた。
他にも寒さに強かった動物がいる。マンモスだ。当時はイギリスからカナダのユーコンまで地続きであり、マンモスの生息地は広い範囲に渡った。
しかし、毛サイやマンモスをおびやかすものがいた。約10万年前にあらわれ、主にヨーロッパに存在していたネアンデルタール人だ。彼らは道具を使って大型動物を殺すハンターだった。がっしりとした身体で力が強く、寒さにも慣れていたが、3万5000年ほど前、気候が変わり絶滅へと追いやられていく。代わって登場するのが、我々人間の祖先ホモ・サピエンスだ。
ホモ・サピエンスは、マンモスを利用して家や美術品を作るなどして、寒さや砂ぼこりから身を守った。ネアンデルタール人の頃には見られなかった工夫だ。当時の壁画には、我々の祖先が動物を衣食住に利用しながら暮らしていた証拠が残されている。