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ストーリー

大自然の神秘 氷山の謎に迫る! 後編 氷山の消滅

巨大な氷山は、どのようにして生まれ、消滅していくのか? さまざまな分野の科学者や水中カメラマンなど総勢20人あまりの調査チームが、その謎に挑む前編・後編。
 後編は、氷山がどのように消滅していくのかを解明する。チームは、2年前にグリーンランドで誕生し、カナダ沖に流れ着いた面積40平方kmの巨大氷山で調査を行う。氷山には10頭以上のホッキョクグマが生息し、水面下には豊かな生態系があることが明らかになる。この巨大な氷の塊が崩壊する仕組みについて、科学者たちは「海水の温度が解かす」、「波の動きが崩壊させる」という2つの仮説を立て、それを検証していく。チームは、常に崩壊の危険がある氷山の上で、ホッキョクグマに迫られながら命懸けで調査を行う。

氷河から生まれた氷山はどのようにして消滅するのだろうか? その謎を解明するため、調査チームは、グリーンランドから流れ出し、カナダ沖に浮かんでいる巨大な氷山を観測する。
ペテアマン氷山は、グリーンランドで誕生し、2年をかけて何千kmも旅をしてきた。科学者たちはこれを調べて、氷山がなぜ崩れるのかを明らかにする。「海水が氷山を解かす」と「波の力で氷が小さく割れる」という2つの仮説を検証するため、氷山の大きさを測定する。また波が氷山に与える影響を調べるため、波の高さと周期を調べる計器も海に投げ込む。計測の結果、氷山の外周は27km、体積は200億立方m。調査チームはこの氷山にホッキョクグマが生息していることを知り驚く。
水面下には岩棚のような氷が張りだしているため、氷山に調査船を接岸するのは至難の業だ。チームは2日がかりで、ようやく氷山に上陸。船をつなぎ止めることができた。近づいているホッキョクグマに注意しながら、観測機器を設置する。
翌日、科学者たちがデータ回収に行くと、近くで氷が割れ始めた。チームは大急ぎで船を氷山から切り離し避難する。回収したデータを分析すると、氷山が割れたのは波の影響ではないことを確認できた。
では、海水が氷山を解かしているのだろうか? それを確かめるために、チームは氷山に戻って、氷の中の温度を測る。その結果、氷の温度はマイナス13度。この氷山が誕生した2年前から2度しか上がっていなかった。さらに水中の温度を調べると、水深10m以下の海水は極めて冷たいが、それよりも浅いところは比較的温かい。この温かい海水が水面下の氷山を解かしていたのだ。海面に近い部分の氷が溶けることによって、氷山のバランスが失われ、崩落することが明らかになった。
最終日、チームは追跡調査ができるように観測機器を残した。