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緑の惑星~地球進化の謎~ 1 光と生命
私たちの惑星を形成してきたのは、火山や大陸の移動だけではない。地球にとって最も重要な変化を引き起こしたのが、植物だと言えるかもしれない。植物の世界は、驚きと魅力に満ちている。アメリカの西海岸に自生する杉の仲間、セコイアスギには樹齢3千年以上のものもあり、その高さは100mを超える。小さな種から生まれる植物が、地球上で最も大きな生命体といわれる巨木に成長するのだ。しかし、植物が地球の歴史に与えた影響は、それよりもはるかに大きい。太陽の光を利用して生命を支える大気を作り出し、地球の景色を変え、あらゆる動物の進化を促してきたのだ。もちろん、私たち人類もその例外ではない。
地球の姿を変えてきた植物の謎に、地質学者イアン・スチュアートが世界中を冒険しながら迫る全3回シリーズ。私たちの暮らすこの惑星を緑に変えた植物のすべてに迫る。第1回は、地球に誕生した植物の祖先が、どのように太陽の光を利用して、私たちの生命を支える大気を作り出したのか、植物のルーツを探る。
地質学者イアン・スチュアートが、ベトナムの洞窟やアフリカの砂漠を旅し、植物が太陽光を利用して酸素を作った様子を解説する。植物が酸素を作った結果、紫外線を防ぐオゾン層ができ、生物が陸上で生きられるようになったのだ。
まず、ベトナム・ソンドン洞窟の中にある熱帯雨林を訪ね、太陽の光による植物の繁殖力を確認する。次に、地球で初めて生物が生きられる大気を作り出した時代を検証するため、南アフリカ・シシェン鉱山を訪ね、石の中に閉じ込められた25億年前の酸素を取り出す実験をする。この大気が地球上を満たすことで、初となる生命体バクテリアが誕生。また、このバクテリアは酸素を作り出すこともできた。海の底では緑のバクテリアが繁殖し、これが植物の祖先になったという。イギリスではイアンが自ら実験台となり、当時の地球と酸素濃度を同じにした部屋に入り、植物が世界を酸素で満たしていく過程を体験。緑の植物が酸素を作り出す過程を体感する。
バクテリアは光合成という作用を進化させて、ついに上陸。その初期の植物は、水辺近くで化石として見ることができる。そして次第に内陸に進出し、4億年前には最初の根のある植物が出現する。内陸に植物が繁殖すると、水の中に閉じ込められていた生物が陸地で生活できるようになり、地球の風景は劇的に変化した。生物の出現とともに、植物と植物の間では勢力争いも起こり、植物は動物に食べられないよう、トゲや毒などの武器を備えた。
最後に訪れたアメリカのシエラネバダ山脈では、体の大きい恐竜に対抗して、地球上で最も高い樹木になったセコイアスギに登ってみる。海で誕生した植物の祖先が、地球に劇的な変化をもたらしながら、進化していった軌跡を追う。