BBC地球伝説

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ストーリー

宇宙をめぐる地球 ―その秘密に迫る― 3 季節と地球

宇宙をめぐる地球を1年にわたって追いかけ、その壮大な旅が私たちにもたらす驚くべき影響を探るシリーズの最終回は、3月の春分から6月の夏至までの旅。
地球は、およそ23°傾いた状態で太陽の周りを回っている。この傾きが地球に「季節」をもたらす要因となっている。特に、暖かい季節へと移行していくこの3カ月間は、地球が1年で最も激しい変化を見せる時期だ。物理学者のヘレンはアメリカ中西部で竜巻を追いかけ、番組ホストのケイトはカナダのアレクサンドラ滝で、それまで凍っていた滝が一気に流れ出す様子を間近で目撃する。
また、メキシコの古代文明マヤのピラミッドや、サハラ砂漠にある洞窟に描かれた壁画、エジプト・ナイル川のコム・オンボ神殿など古代遺跡の数々を訪れ、地球の神秘と壮大な歴史を体験。
地軸の傾きが季節の変化にどう影響しているのか、そして、どうして地軸は傾いているのか、その秘密に迫る。

最後の旅は、3月の春分の日、メキシコの古代都市マヤにある大きなピラミッドから始まる。古代マヤ人は太陽の周りを回る地球の動きを深く理解していたといわれ、その知識を1500年前に建てられたピラミッドに組み込んでいた。年に2回、春分と秋分の日にのみ、太陽の光がピラミッドに蛇の姿を映し出すのだ。
春分と秋分の日は、地球のどこにいても、昼と夜の時間が同じになる。北半球も南半球も偏りなく太陽の光を受けるためだ。もし地軸が傾いていなかったら、毎日、昼と夜が12時間ずつ交互にやってきて、季節の変化はなくなるだろう。つまり季節の変化を生み出すのは、この地軸の傾きなのだ。
暖かい季節に移行していくこの3カ月は、地球が1年で最も激しい変化を見せる時期。冬の間、北半球のほとんどを覆っていた雪や氷が、どんどん溶けていくからだ。4月の終わり、カナダのアレクサンドラ滝では、それまで凍っていた滝が、決壊するように一気に流れ出す様子を見ることができる。6月に入ると、アメリカの中西部では、激しいひょうが降り、大きな竜巻が発生。アリゾナ州では、「ハブーブ」と呼ばれる砂嵐が巻き起こる。さらにインドでは、モンスーンが大雨をもたらす。
こうした変化を引き起こす地軸の傾きは、45億年前、「ティア」と呼ばれる惑星が地球に衝突して生まれたもの。それから長い時間をかけて、太陽と月の重力の間でつり合いがとれ、およそ23°の角度で安定した。しかしこの傾きは、4万1千年のサイクルで、22°~24.5°の間を揺れているという。傾きの角度が少しでも変化すると、地球の気候に大きな影響が出る。そのことを示す証拠が、サハラ砂漠の洞窟に描かれた壁画に残っている。5000年前から1万年前の間、サハラ砂漠でも雨が降っていたのである。
昼間の長さが最も長くなる夏至の日。1年にわたって地球の動きを追いかけた旅は終わる。