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宇宙をめぐる地球 ―その秘密に迫る― 1 地球の自転
宇宙をめぐる地球を1年にわたって追いかけ、その壮大な旅が私たちにもたらす驚くべき影響を探るシリーズの第1回。初回は、地球の「自転」に焦点を当て、7月から12月の冬至までを追う。
昼と夜が交互に訪れるのは地球が1日に1回転しているためだが、その時に生じる大気や海の流れは、さまざまな自然現象を引き起こしている。その影響が最も大きく現れるのが、回転速度が最も速い赤道付近。番組ホストのケイト・ハンブルは、赤道直下で車を走らせ、"世界最速のドライバー"気分を体験。物理学者のヘレン・チェルスキーは、アマゾンの熱帯雨林の上空3000mからスカイダイビングをし、自転による大気の流れを体感する。さらに、ノルウェーの白夜や、メキシコのハリケーン、カナダのファンディ湾の満ち引きなども紹介。
約5カ月間の旅を通じて、地球の自転が大気や海の流れを生み出し、気候の変動にいかに重要な役割を果たしているかを探る。
太陽の周りを回る地球の秘密を探る旅。その第1歩は、7月のノルウェーで幕を開ける。夏の初め、ノルウェーでは5月に昇ってから太陽が一度も沈まない。これは「白夜」と呼ばれる現象だ。北極圏に再び夜が訪れるのは、7月の終わりになってからのことだという。
日が沈み、また昇るのは、地球が1年かけて太陽の周りを1周すると同時に、自転軸を中心にして1日に1回転しているため。地球の自転は、さまざまな自然現象を引き起こす要因になっている。地球の回転によって、天候をつかさどる大気の流れが生まれるからだ。
その影響が最も大きく現れるのが赤道付近。円周が最大となる赤道は、地球上で最も速く動く場所だ。移動速度は時速1600kmにおよび、赤道直下にある道を真東に向かって車で走れば、誰でも"世界最速のドライバー"になることができる。また、年間を通じて太陽の熱を一番多く受け取っているのも赤道地帯。ここから始まる地球規模の風の流れは、世界中の気候に影響を与えている。例えば9月になって、暖かい空気と冷たい空気がぶつかり、さらに地球の自転によって渦を巻く風が生じると、荒々しいハリケーンが発達する。
地球の自転は、大気と同様、海の流れにも関係している。生命を育むために不可欠な海流の循環も、この自転の影響によるもの。潮の満ち引きには、月の引力と地球の自転が関わっている。特に、9月の秋分の時期は、月と太陽の引力が重なり合うことで干満の差が最大になる。しかし、かつて潮の満ち引きはもっと激しかったという。今から4億年前、1年は410日あり、1日は21時間だった。つまり、当時の地球の自転速度は現在よりも速かったと推測される。
11月が終わりに近づくと、北極圏に1日中太陽が昇らない「極夜」が訪れ、辺りは闇に包まれる。12月の冬至を迎えると、北半球が受ける太陽の光は1年で1番少なくなる。
7月の終わりから12月の冬至まで、さまざまな土地を旅しながら、地球の自転が気候に与える影響を探っていく。