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プラネット・ツアー
―地球が文明を作った― 1 地底探検
私たちの暮らす地球は、想像をはるかに超えた力に満ちている。人類の歴史に影響を与えたこの偉大な力を、迫力ある映像とともに検証するシリーズ。第1回目となる今回は、地球内部の活動にスポットを当て、世界各地の都市へと案内する。
メキシコのナイカ鉱山。その地中深くに存在する世界最大の巨大結晶洞くつ。古代の銅採掘場跡が残るイスラエルのティムナ渓谷。地下水を利用し、砂漠のオアシスとして栄えたヨルダンの古代都市ペトラ。地底から産出するスズの交易を経済基盤にミノア文明を開花させたギリシャ・クレタ島。断層の活動がもたらす地形を観光と農業に生かし、石油で富を得るアメリカのカリフォルニア。ヨーロッパとアジアをつなぐ交易拠点として栄えるトルコのイスタンブール。皆、地殻変動をはじめ地球内部の活動の恩恵を受け発展を遂げた一方で、常にその脅威にさらされてきた。地震や火山噴火により壊滅の途をたどった古代都市。人類は今も被害を最小限に抑える方法を模索しつつ、地底からもたらされる恵みを求め続けている。
第1回目は、地球内部の活動にスポットを当て、世界各地の都市へと案内する。
まず訪れたのは、メキシコのナイカ鉱山。その内部を埋め尽くす巨大な石こうの結晶は、まさにマグマの熱や地殻変動といった地底の活動の産物だ。
次に訪れたのはイスラエルのティムナ渓谷。この地に残る古代の銅採掘場跡は、地球内部の活動が人類に影響を与えた証と言える。地底から産出した銅が、人類に飛躍的な技術革新をもたらしたからだ。同様に古代に栄えたのが、ヨルダンのペトラやミノア文明の中心地クレタ島。いずれも地下水や鉱物など、地底の恵みを手に入れやすい断層地帯で発展を遂げた。しかし、そうした古代都市は、いずれも火山噴火や地震によって滅ぶ運命にあった。
時は移って現代。地震発生のメカニズムが解明された今も、危険な断層と隣り合わせで発展する都市は多い。アメリカのカリフォルニアは、州を縦断するサンアンドレアス断層の活動によって恵まれた素晴らしい景色や地形を観光・農業に生かし、石油を産出して栄えている。北アナトリア断層に隣接するトルコのイスタンブールは、古くから東西の交易の拠点として栄え、幾多の震災を乗り越えてきた。地球内部の活動がもたらす被害をいかに止め、同時にその恵みを生かせるか、人類の英知をかけた挑戦はこれからも続く。