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ミステリー・オブ・ジュラシック ~恐竜進化の謎に迫る~
恐竜がいかにして地球を征服したかを、ジュラ紀の発掘物から読み解く。
ジュラ紀後半はさまざまな意味で恐竜の黄金時代だったと考えられている。ジュラ紀に起こった何かが、初期の原始的な恐竜を後期の巨大な生物に変えた。それはいったい何か。この古生物学上のブラックホールを解明すべく、アルゼンチンのパタゴニアで発掘作業を行う科学者のグループを追う。
恐竜時代の初期、単一の超大陸を形成していた陸地がジュラ紀に分裂し始め、それに伴って気候と地勢が変化した。このことが恐竜の進化に何らかの影響を与えたと、科学者たちは仮説を立てる。アルゼンチンで発掘された哺乳類の顎の化石と恐竜の大腿骨の形には、南米と北米とのあいだに差が見られた。これは、超大陸が分裂したジュラ紀中期初めに、南米の恐竜は北米のとは異なる進化を始めたという有力な証拠と考えられている…。
古生物学上の神秘と言われるジュラ紀中期の恐竜の化石が、アルゼンチンで発見された。「ジュラ紀中期のタイムマシーンに等しい発掘」と、科学者グループは大いに興奮する。恐竜時代の初期、地球は今日とはまったく違った形をしていた。超大陸である。それがジュラ紀に分裂し始めたことが、恐竜の進化に何らかの影響を与えたと考えられる。
ジュラ紀には海洋生物の8割が死滅したという証拠が、ヨークシャーをはじめ世界各地の岩石に見られる。大規模な淘汰は進化に多大な影響を及ぼしうる。しかし、地上の生物については同様の発見はなされていない。したがって、恐竜の進化は生物の淘汰によって促されたわけではないということになる。
次に、超大陸の分裂に伴い、気候が恐竜の進化を大いに左右しうるという仮説が紹介される。均質な世界には均質な動物しか生息しないため、初期の恐竜は多様性に欠けるが、地域によって変化に富んだ気候は新しい生態系を生み出すと言うのだ。しかし、この理論にも弱点があった。気候の変化だけでは、すべての恐竜に進化を強いるには十分ではない。それには、気候の変化に適応しなければ絶滅してしまうような、物理的な障壁が必要である。
その有力な手がかりがアルゼンチンで発掘された。南米と北米とでは、哺乳類の顎の化石と恐竜の大腿骨の形に差が見られる。これは、南米の恐竜が北米の恐竜とは異なる進化を始めたという証拠である。超大陸が分裂し、大西洋がどっと流れ込んできたとき、引き離された恐竜たちは別々の進化を遂げたのである。新しく形成された大陸には、新たな気候が生まれた。多様性を持つようになった世界はさまざまな体型の恐竜に合った生息域となり、その結果、恐竜は地球を1億年近くも制することになったのである。