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ワイルド・カリビアン~知られざる 生命の楽園~
1 自然の宝庫 カリブ
風光明媚な楽園のイメージで知られるカリブ海。しかしその美しい海と島々は、時として大規模な災害も伴う、巨大な自然の力によって形作られたものでもある。カリブの豊かな海や大地の秘密と、そこに住む生き物たちの、色鮮やかなだけではない、驚くほどの多様性と不思議な生態を紹介する4回シリーズ。
第1回ではバハマ、バーブーダ、キューバなどの美しい自然や動物たちとともに、乾燥した風に吹かれて植物も育ちにくいABC諸島や、サンゴ礁の育たないトリニダードの湿地帯など、カリブの楽園のイメージとは異なる場所と、それらの環境に適応した生き物たちも紹介する。また、今も続く火山活動の凄まじいエネルギーにも注目。山を焼き、街を土砂で埋め尽くし、海へと流れ込む、人間も太刀打ちできない、その自然の猛威の影響とは。グンカンドリ、アカガニ、コウモリ、フラミンゴたちの、信じられないほどの大群や、恐るべき火砕流の映像は圧巻だ。
バハマ諸島の澄んだ海にはイルカの家族がいる。穏やかに見えるイルカだが、ここではイルカ同士の争いも見られる。バーブーダ島のラグーンには、8千羽ものグンカンドリが集まる。喉の袋をふくらませてメスにアピールするのも、よい場所に巣を作る枝を集めるのも、すべて競争でオスは苦労が絶えない。
カリブの島々の地形には火山の噴火が影響を与えているが、モントセラト島は1995年の噴火以来、街は土砂に覆われたままなのだ。一方、火山の影響で浅瀬から急に深くなるドミニカの海は、潜水が得意なマッコウクジラの住み家になっている。
火山島ではないキューバでは、石灰岩の洞窟に注目だ。百万匹のコウモリに出会うほか、洞窟に住む哺乳類フチアの野生の姿の初撮影に成功。大群ならばアカガニも負けない。産卵のための海への大移動の様子を追う。ABC諸島は乾燥した風が吹く荒涼とした島だが、酷暑が水を蒸発させて残る塩は名産品だ。濃い塩水の地に適応したフラミンゴの大群のピンク色が美しい。泥が流れ込み、サンゴ礁が生まれないトリニダードの湿地帯にも、トキやオマキザルたちが息づいている。カリブの多様な環境が、多様な生き物たちを育んでいるのだ。