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ストーリー

古代エジプトの至宝~歴史を刻む美しき遺産~
3 新たな始まりへ

古代エジプトの芸術を紹介しながら、その歴史をたどるシリーズの第3回。
侵略を受けて終わりを迎えるまでの時代をみていく。他国との戦争は、異なる文化をもたらした。それらが伝統的な文化と混じり合って、新しい表現が生まれていく。エジプトが他の国に支配されるなかで作られた芸術作品を追う。
紀元前1200年頃のラムセス2世の時代には、王はまだ強い力を持っていた。彼が作ったアブ・シンベルの大神殿の入り口には、権力を象徴するかのように大きな像がそびえ立っていた。
しかし、紀元前1150年頃のラムセス3世の時代に、大きな経済の混乱が起きる。そこから古代エジプトの衰退が始まった。この時代から古代エジプトが終わりを迎えるまでの1000年間は、政治の崩壊と社会の混乱が起きた時代だといわれている。他国からの侵略も起こるようになり、次第に王の権力も弱くなっていく。紀元前750年頃、エジプトは現在のスーダンの辺りにあったクシュ王国の支配下に入る。その時代には、2つの文化の特徴を合わせ持った芸術作品が作られた。格好はエジプト人だがアフリカ人の顔をしている胸像がその例である。紀元前332年には、アレクサンドロス大王によって再び支配を受けることになる。この頃の彫刻は、エジプトらしい形にギリシャの様式が加えられた。続くプトレマイオス朝も、ギリシャ人による王朝である。しかし、この時代には、神殿や彫像にエジプトらしい装飾や様式が復活していく。他国の支配を受けてもなおエジプトの芸術作品の力強さは失われなかったのだ。
ローマ帝国の支配によって、終わりを迎えることとなった、古代エジプトの歴史。衰退していく時代に、最後の輝きを放った美しき遺産に迫る。