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ストーリー

古代エジプトの至宝~歴史を刻む美しき遺産~
1 ピラミッドの誕生まで

古代エジプトの芸術を紹介しながら、その歴史をたどるシリーズの第1回。新石器時代から巨大なピラミッドが誕生した紀元前2500年ごろまでをみていく。
エジプト最古の芸術は紀元前6000年ごろにまでさかのぼる。サハラ砂漠に残された新石器時代の壁画には、女性とキリンが描かれていた。その時代には、背の高いキリンを雨の神として信仰していた。砂漠に残されたこうした壁画は、エジプト芸術のはじまりを象徴するものといえるだろう。
紀元前3000年ごろには、上下に分かれていたエジプトはひとつに統一される。ナイル川の近くで発見された「ナルメル王のパレット」と呼ばれる石板には、空間を区切るようにきっちりと線が引かれ、それぞれに別の絵が彫り込まれていた。また、そこに登場する人間は胴体と目は正面を向いているが、足と顔は横向きになっていた。こうした表現は、この時代以降の芸術作品でも繰り返し使われていくようになる。
統一された後、エジプトはどんどん国の力を高めていく。そして紀元前2500年ごろには、クフ王によってギザの大ピラミッドが建設される。統一からわずか500年の間に、そうした巨大建築物を造ることができるほど強力な国に成長していた。ピラミッドと並び有名なスフィンクスは、クフ王の息子であるカフラーの時代に作られたといわれている。スフィンクスは、ギザの街を守る神のような存在だったという。
こうして新石器時代の壁画に始まったエジプトの芸術は、巨大なピラミッドの建設という国家的な大事業にまで発展した。古代文明の足跡をたどり、その美しき遺産に迫る。