アジア神秘紀行

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ストーリー

アンコール王朝繁栄の湖~カンボジア・トンレサップ~




カンボジアのほぼ中央に位置するトンレサップ湖。東南アジア最大の湖として有名で、雨期と乾期ではその大きさが3倍以上も違う"伸縮する湖"と呼ばれています。

今回訪れたのは、アンコール遺跡群の玄関口シェムリアップから車で約20分のトンレサップ湖上の村、チョンクネア村。ここには約400世帯が湖の上にゆらりと浮かびながら暮らしています。ここで暮らす多くの人は漁業を生業としています。というのも、トンレサップ湖は世界でも有数の生物多様性を誇り、魚の種類は200種類以上もいると言われているのです。トンレサップ湖はアンコール王朝の時代からカンボジアの人々のタンパク源を担い、豊饒の湖として大切にされてきました。その様子は、遺跡の中のレリーフにも残されています。
今回はトンレサップ湖を中心に、"水の都"と謳われるカンボジアの知られざる一面にも迫ります。カンボジアではいにしえより"水"を信仰する文化がありました。そしてアンコール王朝繁栄の裏には、"水"が大きく関係していました。アンコール王朝発祥の地プノン・クーレンでは乾期でも枯れることのない滝と、水に聖なる力を宿すという、女性性器を象った"ヨニ"を中心に男性性器を象った無数の"リンガ"が取り囲む、川底に刻まれた遺跡を紹介します。そしてアンコール王朝には驚くべき治水システムが形成されており、人々の生活を豊かにし、王朝繁栄の原動力となっていました。世界最大の宗教建築と称されるアンコールワットを作り上げるまでに王朝が繁栄した背景には、こうした水への信仰と優れた治水システムがあったのです。

水と共に生きて来たカンボジアの人々。アンコール王朝の時代から続く人と水との関係を見つめながら、トンレサップ湖の魅力を描きます。