ありがとう
放送内容
「中原丈雄 ~故郷に寄り添う 母の笑顔~」
俳優・中原丈雄。昭和26年、熊本生まれの62歳。20代、劇団未来劇場にて数多くの舞台を経験し、30代で映画、テレビドラマなど映像の世界に進出。これまで演じた役は200を越える。真面目なサラリーマンから渋い刑事、冷酷な大学教授、医者と演技の幅は広く、役に応じてどんな色にも自分を染められる名バイプレイヤーだ。
中原が今、「ありがとう」を伝えたい相手、それは故郷熊本県南部の湯前町で一人暮らしをしている母・れつ子だ。自然豊かな里山で4人兄弟の長男として中原は両親の期待を受けて育つ。妹や弟たちも「兄だけは特別扱いされていた」と幼い頃を振り返る。高校卒業後、両親には大学に進学すると言って上京したものの、子どもの頃から憧れていた俳優になるべく一年で中退。公務員だった父・寅雄はこれに烈火のごとく怒った。「お前の育て方が悪いからだ!」と母を責めたこともあったという。母は保険の外交員や着物の着付けの仕事をして、東京で役者の下積み生活をする中原に仕送りをし、支えた。父には内緒の仕送りは中原が映像の仕事で名前のついた役をもらえるようになる30歳過ぎまで続いた。「早く息子が一人前になりますように」神社のそばを通る時、母はお参りを欠かさなかった。今回の里帰りでは兄弟とごく親しい知人を招いて母に感謝の宴が開かれる。父亡き後、一人暮らしの母を囲んで賑やかなひと時となる。中原は苦労をかけた母へ感謝の思いを形にする事にした。個展を開くほどの絵の腕前の中原から初めて母に絵のプレゼント。モデルは母。絵の中に書き添えられたのは、遠く離れた故郷の両親に思いをはせる唱歌「旅愁」の歌詞だった。