百年名家~築100年の家を訪ねる旅~
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中山道 木曽の旅 第一話 馬籠宿巡り~島崎藤村が愛した街~
今回は、木曽シリーズ第一弾として木曽11宿の馬籠宿を訪ね歩きます。
テーマは「島崎藤村ゆかりの地」。近代文学を代表する文豪の島崎藤村。
彼の代表作「夜明け前」のモデルになったのが馬籠宿なのです。
小説の中に出てくる馬籠宿とは一体どんな街だったのか…藤村が愛した馬籠宿に迫ります。
中山道69宿のうち木曾路には11の宿場が置かれており、馬籠宿は最も京よりある宿場町です。
この馬籠宿はあまりに険しい街道のため、旅人は馬を引いて行けず宿場に馬を置いていったことから馬籠と名付けられたと言われています。
そんな坂のある宿場を八嶋さんと黒田さんは、案内人の小林さんに連れられてまず訪れたのは馬籠宿にある本陣。ここは島崎藤村の生家。
島崎家の四男として生まれ9歳で上京するまでこの地で育った藤村。
その頃、勉強部屋として使用していたのが祖母の家。木造2階建ての家は江戸時代後期の建築で当時のままの姿で現在も残されています。
「木曽路はすべて山のなかである」からで始まる代表作『夜明け前』
この構想を練ったとされるのが藤村の実家から少し離れた清水屋の2階。
宿役人を務めていた清水屋の家は築120年以上の木造2階建て。家の中心にある囲炉裏。
その上にむき出しにされた大きな梁は釘を一本も使わない城下造りと呼ばれこの家を守っています。
そんな藤村ゆかりの地、馬籠宿をあとに、八嶋さんと黒田さんが次に訪れたのは江戸時代中期に建てられた峠のお茶屋さん。
ここは、寛延2年から明治2年まで「木曽五木」(ヒノキ・サワラ・あすなろ・こうやまき・ぬずこ)をはじめとする伐採禁止木を取り締まる番所が置かれた場所。
その横にあるのが一石栃茶屋。
妻籠宿と馬籠宿の中間に位置し往時は七軒ほどの家があって旅人に休息と利便を与えていたが今では、この牧野家住宅一軒だけになります。
牧野家住宅は江戸時代中期の建物で当初間口は十間半もある大きものだったが、現在は南側が切り落とされて八間に縮小されています。
最後に訪れたのは峠の集落にある今井家。
江戸時代、今井家は牛方と呼ばれる民間輸送機関の組頭を務め、島崎藤村の「夜明け前」 にも登場しており、かつての牛方組頭としての規模と格式を備えた貴重な建築遺構です。
今井家の建築年代は明治前期で、間口8間半、木造2階建てとなっています。
正面両端には牛繋ぎ石が据えられ、 住宅土台にも馬繋ぎの環金具が取り付けられています。
そんな島崎藤村を感じた木曽・馬籠宿の旅でした。