ワイルドネイチャー いきもの大紀行

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BBCスペシャル
クロクマ・ライオン 野生への旅立ち

ナビゲーター:宮崎美子

カナダのクロクマ、そして、アフリカのサバンナで生きるライオン、幼い動物たちを保護し、野生で暮らす方法を学ぶ動物たちに密着。大自然に帰るための道のりを追います。

カナダの広大な自然に生息するクロクマ。まだ雪が残る初春、メスのクロクマが3頭の子グマを出産しました。独り立ちするまで1年半の間、生きていくすべを母親から学んでいきます。ある日、母親は母乳を与えるために、子グマ達を安全な木の上に登らせ、食べ物を探しに行きました。その間に、1頭の小グマ、スピリットだけが兄弟たちからはぐれてしまったのです。
この森には、家族と離ればなれになってしまった子グマたちを保護し、野生に帰す世話をする施設があります。そのスタッフであるマイクのもとへ、道路の脇で子グマが見つかったとの電話が入ります。それは、森で兄弟とはぐれた子グマのスピリットでした。マイクは懸命にスピリットの世話をします。一方、野生で育つ兄弟のアールとウィルフは、母乳をたっぷり飲み、木登りをしながら、森で生きていく方法を学んでいました。
保護施設に引き取られた子グマのスピリットが、ようやく元気を取り戻しました。そこでマイクは、先に保護されていた子グマのたちのおりにスピリットを入れてみます。すると、じゃれ合っているかと思えば、ミルクを取り合うケンカを始めるなど、本当の兄弟のようです。さらにここには、保護されて、訓練の進んだ4頭のクマもいました。マイクは、ミツバチの巣には、彼らが大好きな甘い蜜があるということを教えるため、木に穴をあけ、蜂蜜を流し込みます。しかし、中でも臆病な1歳の子グマは人間の臭いが気になるようです。警戒心が強い様子を見て、マイクは、野生に戻るには良いきざしだと言います。
そしていよいよ、その子グマが大自然の中へと帰る日がやってきました。マイクたちは、たくさんの水とクロクマが好きなベリーの木がありそうな場所を選んで放します。いよいよ、完全に野生へと戻っていくのです。一度マイクたちを振り返ったあと、森の中へと消えていきました。

そして後半は、アフリカ・サバンナに生息するライオン。現在はその数が急速に減少しています。そこにライオンたちの保護施設を作った飼育員のデービッドは、これまで24頭を野生に帰し、それぞれが群れを作り生き延びています。
現在施設には、3か月~4か月半くらいの8頭の幼いライオンたちがいます。その中の1頭トゥンヤは、好奇心旺盛で元気いっぱいです。将来、家族を守るリーダーとなるべく育てられています。
野生のライオンは、群れで暮らします。オスはメスと子供を守り、メスは複数で協力し合い、狩りをして食料を手に入れます。子供を連れてメス一頭で生き延びることはとても難しいのです。
群れから離れ、子どものモジと2頭で生きる母ライオンは、足の速いウシの仲間インパラを追いかけますが失敗します。このままエサにあり付けなけれれば、母乳も出なくなってしまいます。一方、保護区にいるライオンの子ども、トゥンヤと仲間のライオンたちは、デービッドに連れられて、初めて川を体験します。そこに住む恐ろしい動物、ワニが現れました。やってくる獲物をいつも待ち伏せしています。しかしこれは、野生の厳しさを知るためには大切な経験なのです。危険を察知したトゥンヤは懸命に仲間たちに知らせようとします。デービッドも警戒し始めました。幸運なことに、ワニはライオンの子ども達に気付くことなく行ってしまいましたが、これでトゥンヤはリーダーとしての地位を得ることになりました。
サバンナでは、子どものモジのために、母ライオンがようやくイノシシを捕らえ、初めて満足するエサを与えることができました。しかし、これ以上一頭では生きていけないと感じた母ライオンは、ライオンの群れに受け入れてもらおうと近づいていきます。果たして受け入れられるのでしょうか?
一方、さまざまな訓練を経て、保護施設の幼いライオンたちは、強いきずなを持つ群れへと成長していきます。彼らはいつか、野生に帰ったほかの群れと同じように、仲間と共に生きる、サバンナの王者へと成長していくことでしょう。