特等展望!ヨーロッパ鉄道紀行

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放送内容

ベルギー:アルデンヌをめぐる旅

ベルギー南部・ワロン地方の中心都市、リエージュ。中世の時代には司教領として繁栄していました。今回は、この地から美しい森林の広がるアルデンヌ地方を駆け抜け、温泉の故郷であるスパの町へと向かいます。
旅の出発地リエージュは、古来から交通の要衝として重要な場所でした。特に、10世紀の終わりから18世紀末までの間は、司教領として繁栄を極めました。君主司教宮殿や聖バルテルミー教会など、由緒正しき建築物がいたるところで見られます。また、ワロン地方一帯は、炭坑地帯としても歴史ある場所でした。ワロン民族博物館では、この地方の産業の歴史を学ぶことができます。
リエージュを見て回ったら、いよいよリエージュ・ギマン駅から出発しましょう。有名な建築家によって作られたこの駅は、ドーム型の形状が目を惹く近未来的な建物です。ここから、まずはドイツ国境近くのオイペンへと向かいましょう。
ワロン地方のさらに南東部は、アルデンヌ地方と呼ばれています。古来より美しい自然と豊かな水源で名高い地域です。かつて、作家ヴィクトル・ユゴーは、この地域にあるヴェスドル川の谷を「世界で最も魅惑的な谷」と語ったと言われています。羊毛や繊維産業で栄えたヴェルヴィエの町を通過し、深い森林のなかをウェルカンラトという駅まで進みます。ここは、フランス語圏とドイツ語圏の堺に位置する町。リンブルフ語と呼ばれるドイツ語方言も残る地域です。
ここで、オイペンへと向かう単線に分岐します。列車に乗ること25分ほどで、オイペンへと到着します。ベルギードイツ語圏の首都であるオイペンは、ドイツやオランダと国境が近く、古くから独自の文化圏を築いてきました。近くには4000ヘクタールほどもある広大な湿原、オート・ファーニュの自然保護地帯があり、美しい景観が広がっています。
アルデンヌ地方をめぐる旅はまだ続きます。今度は一度ヴェルヴィエまで戻り、温泉で有名な街スパの、スパジェロンステール駅行きに乗り換えることにしましょう。ペパンステの町で分岐した後、12キロほど進めばスパの町に到着します。沿線には、大自然にたたずむフランシモンの古城など、魅力的な風景が広がっています。スパの町は、アルデンヌの水源に育まれた水の美味しい町として有名なところ。スパという言葉は、ワロン地方の言葉で「泉」「噴水」を意味しており、日本語のスパはこの町に由来しています。
美しい森林と豊かな水源、そして中世以来の歴史的建造物が数多く残るアルデンヌ地方の旅をお楽しみください。