辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
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お祖父さんがリモデルを想定して建てた荻窪のRCの家

大正から昭和初期にかけ、鎌倉と並ぶ別荘地として知られた荻窪。太宰治や与謝野晶子など多くの文人が暮らした痕跡を今なお残しています。
今回は、そんな荻窪の閑静な住宅街にあるK邸を訪ねます。K邸は3階建ての2世帯住宅。1階にはKさんのご両親、2・3階にKさんと奥様、そして2歳になるご長女の3人家族が暮らしています。Kさんが高校時代から25歳まで暮らしたこの家は当時、1階に祖父母、2・3階にご両親とKさんの弟の4人で暮らしていました。その後、祖父母が亡くなった後に両親が1階に移ると、2・3階は空き室となっていました。その時Kさんは奥様と都内の賃貸マンションで暮らしていましたが、奥様の妊娠が判明したのを機に実家に戻ることに。もともと実家をリモデルして、新しい生活を始めようと考えていたKさんご夫妻でしたが、なんと、K邸はお祖父さまが将来の家族構成の変化を見越して、既にリモデルしやすい構造だったのです。基本はRC構造ですが、一部の床がコンクリート造ではなく木造でした。そしてその床を抜くことで高さ4.5Mの大きな吹き抜けを造り、何処にいても家族の存在が感じられる開放的な空間が生まれました。
かつては木を多く使った内装でしたが、リモデルするによって一新、Kさんご夫妻の好みのテイストである、白と黒を基調としたモノトーンの空間を実現しています。そして今回のリモデルの大きな特徴が、北側の一部だけ床のレベルを下げたことです。このことで、2階と3階の間に中3階を設け、北側斜線によって天井が低く納戸としてしか使用できなかったスペースは、屋根裏部屋の雰囲気を楽しめる子ども部屋に。かつて廊下だったところは、半透明の強化ガラスで造り直すことで、上からの光を採り入れることができ、部屋全体が更に明るい空間に生まれ変わりました。
共働きのKさんご夫婦。ご両親のお陰で好きな仕事を続けられます、と奥様。お父様お母様もお孫さんの世話をするのがなにより楽しいとのこと。祖父から孫へ。また孫から新しい家族へと、Kさんご夫妻の将来の家への想いが広がっているようでした。

設計担当:エアスケープ建築設計事務所
http://www.airscape.cc

 
 
 
 

【平面図】

■2階

Before

After

Before After

■3階

Before

After

Before After