辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
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鉄骨造りの倉庫を終の栖にした猫にとっても快適な家

関東三大師のひとつに数えられる、足立区の西新井大師。かつてこの地で弘法大師が祈祷を行ったところ、お堂の西側の枯れ井戸から水が湧き上がってきたことが、「西新井」の地名の由来になったとも言われます。
今回は、そんな西新井大師の近くにお住まいのOさんを訪ねます。機械設計の会社を営むご主人と奥様、そして2匹の猫が暮らすのは、築およそ60年の鉄骨3階建てのお宅。以前暮らしていた都内の団地が手狭になり、ご主人の事務所も兼ねることができる家を探していたOさんご夫妻が見つけたのがこの家でした。1階が工場、2階と3階が居住スペースになっており、まさに理想通りの物件だったのです。この家を購入後、10年ほど暮らしたOさんは、老朽化の目立った水まわりのリモデルを検討することに。そこで家を調べてみたところ、随所に杜撰な施工個所があることが明らかになったのです。特に3階はもともと倉庫として使われていたため、断熱材が全く入っていませんでした。そこでOさんご夫妻は水まわりだけでなく、家全体のリモデルを決意。リタイア後の人生を考え、ご夫妻それぞれの趣味を楽しめる空間を確保しながら、バリアフリーに配慮しつつ、自然素材をふんだんに使うことで、愛猫たちにとっても快適に過ごせる家を目指したのです。
1階の工場脇にある階段を上がると、美しい花々が迎えてくれるO邸。奥様が手入れするこの空中庭園はLDKに面しており、全面開口の窓を開け放てば、自然を間近に感じることができ、ここが2階であることを忘れさせてくれます。そんなLDKは、徹底的に自然素材にこだわった贅沢な空間に。床材には竹を、壁には珪藻土を、そして天井には木目の美しい気仙杉を使い、安らぎに満ちたスペースになりました。壁にはぐるりとキャットウォークを設け、猫たちも気持ち良さそうに部屋中を歩いています。壁の珪藻土が湿気や臭いを吸収してくれるため、猫の臭いも全く気になりません。部屋の一角には、ご主人の趣味である釣り道具を作るコーナーも設置。猫の様子を見ながら、趣味に没頭できる念願の場所が手に入りました。
将来、車イスが必要になったときのことも考えて、動線を広く確保した水まわりは、洗面台や最新型の節水トイレが並ぶ広々とした空間に。奥様が一目惚れしたという洗面台の緑色に合わせて壁の珪藻土にも色を付け、統一感を出しています。
10年後、20年後のライフスタイルを考えてリモデルしたOさん。人にも猫にもやさしい環境に生まれ変わり、心安らぐ毎日を送られているようです。

設計担当:横田満康建築研究所
http://www.mituyasu.com/

 
 
 
 

【平面図】

■2階

Before

After

Before After

■3階

Before

After

Before After