辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
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ヴィンテージマンションの一室を公園に見立てた家

起伏に富んだ多摩丘陵に抱かれた川崎市宮前区。田園都市線や東名高速道路が通り、都心へのアクセスも良好な人気のエリアです。
今回訪ねるのは、築41年のマンション。共にアパレル関係で働くKさんご夫妻は、昨年生まれたばかりのお子さんとの3人家族です。以前は、同じ沿線に賃貸で暮らしていたKさんですが、そこが手狭になったため、より広いマンションの購入を検討。慣れ親しんだ街の近くで物件を探していました。そんな時に出会ったのがこちらのマンションでした。実はこのマンション、戦後の日本を代表する名建築家が設計した作品でした。およそ2500坪の敷地の真ん中には、広々とした中庭の緑が繁り、それを囲うように建つ住戸は、全戸両面採光が確保されています。光と風が心地よく通り抜けるこの環境が気に入ったKさんご夫妻は、趣味のテキスタイルアートの作品を飾れる空間が欲しいというご主人と、大好きなファブリックをインテリアとして活かしたい奥様、それぞれの希望を叶える家を目指してリモデルすることにしたのです。
南北に大きく確保された開口部から燦々と陽光が降り注ぐK邸は、およそ60㎡の空間を広く感じられるよう、各部屋が緩やかに仕切られたワンルームのような間取りになっています。ご家族の生活の中心となるリビングは、部屋の奥行きを最大限に活かすため、床を斜めに貼りその余隅は"芝"をイメージした絨毯を貼りました。寝室や玄関など、視線を遮りたい場所には、ご主人の作品を飾るためのギャラリーにもなる壁を設置。そこに飾った作品を照らせるよう、リビングの照明は可動式のものにしました。また、奥様好みのカーテンで部屋を間仕切ることで、季節や気分に合ったかわいらしい空間を演出。
リビングの奥のワークスペースには、ミシンの踏める大きなデスクを造作。ご主人にとって念願のアトリエが実現しました。キッチンは、外の景色を眺めながら料理がしたいという奥様の希望で窓側に移動。その隅には、洗濯機置き場を作り、家事動線をまとめ"池"になぞらえリモデルしました。
リモデルをしてから家族も増え、生活が一層豊かになったとおっしゃるKさんご夫妻。親子3人、ファブリックに包まれたこの部屋で、ますます彩りにあふれた毎日を楽しんでいかれることでしょう。

 

設計担当:nu リノベーション
http://www.n-u.jp/

 
 
 
 

【平面図】

■1階

Before

After

Before After